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先月「モーリス・ユトリロ展」を見にゆきました。私は絵に限らず好き嫌いがとてもはっきりしているため、グッと胸をつかまれるような作品と出会わない限り、とても絵を鑑賞しているとは思えないような速さで会場をずんずん突き進んでしまいます。 残念ながら今回もかなりハイペースで場内を移動していたのですが、途中で何度か足を止めました。それは、それらの絵を描いた時期のユトリロがどういう生活を送っていたかという解説を読むために。 ルノワールやロートレックのモデルを務め自らも画家であったユトリロの母親は、いつも恋愛に夢中で私生児として生まれた息子のことをまったく構わなかったのですが、ユトリロは美しい母親のことを女神のごとく崇め、その愛情を求め続けたのだそうです。10代にしてアルコール依存症で入院したユトリロは、その後も精神病への入退院を繰り返す中、お医者様の勧めで絵を描き始めたところ、母親が喜んだこともあって画家への道を歩み始めます。 その後、幼なじみの画家と母親が恋愛関係になったり、絵の価値に目をつけた母親や妻によって売れるための絵を描かせられたり…。 作品そのもよりもドラマティックで寂しすぎるその生涯の方に圧倒されてしまった…などというのは、画家に対して最も失礼な感想だと思うのですが、考えてみればユトリロに限らず…どころか絵画に限らず、音楽でも小説でも、いつも私が一番気になるのは、それらの作品を生み出した人自身がどういう生き方をしてきたのか…という部分のような気がします。 |
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