思い出す顔

ドラマ『あいのうた』を、毎週しゃくり上げるほど泣きながら見ています(苦笑)。
親から愛情をかけられることもなく育ち、27年間不幸の連続でもう消えてしまいたい…と川に身を投げた性格ブスのヒロイン・洋子(菅野美穂ちゃん)が生まれて初めて好きになった相手は、奥さんに先立たれてた元敏腕刑事・優二(玉置浩二さん)。残された3人の子供と明るく楽しく過ごす優二は、実は余命半年と宣告された身。
親しい同僚や子供たちにすら言えずにいるその事実を、優二は初めて洋子に打ち明けます。洋子はショックを受け、そのような状況にありながらどうして毎日笑っていられるのか理解に苦しみます。それに対して優二は、笑うと力が出る、ずっと笑っていたら俺のことを思い出すときに笑顔を思い出してくれるだろう? と答えるのです。

このシーンを見たとき、かつての上司のことを思い出しました。黙っているとちょっと近寄り難い容貌の持ち主だったのですが(苦笑)、お客様(←販売だったので)の前に出ると、途端に目尻が下がって優しい顔つきになるのです。そしてそれは外面が良いわけではなく、私たち従業員に対しても全く同じでした。どんな状況でも冷静で、常に腰の低い、接客のお手本そのものような素晴らしい方でした。
当時、もしも将来どちらかが転勤や転職をして会わなくなるときがきたら、そのとき私が思い出すのは間違いなくあの笑顔だろうなぁ…とぼんやり思ったものでした。
その上司が急死されたのは、僅か数年後のこと…。それからさらに数年が経ちましたが、当時のことを思い出すとき頭に浮かぶ上司の顔は、やはり目尻の垂れ下がったちょっと頼りないあの笑顔なのです。
2005年11月25日(金)

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