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『指を切る女』 池永陽 講談社 - 2004年03月15日(月)

《bk1へ》
4編からなる短編集である。
いずれもが容姿端麗な女性が登場するのであるが、“容姿端麗”であるからこそ必ずしも人生幸せであると限らない。
やはり“人を愛すること”って単純なようでむずかしいのかもしれませんね。

それにしれも各編の女性は男性に翻弄されすぎてるかな。
でも女性が読めば逆に感じるかもしれませんね。
そこが恋愛の面白さかつ複雑さであるのだけど・・・
唯一「悲しい食卓」の主人公のみ理解というか共感できるのだが、他の3人には“哀れみ”を感じずにいられない。
いや、哀れみを通り越して“狂気”と言ったらいいのかもしれない。

この点はとりわけ女性が読まれたら私以上にそう思われるような気がする。
他の3作はについては、少し女性の弱い部分を強調しすぎて書かれてるような気がする。
読後感があまりよくないのが残念だ。

小説を読むに当たって読者は“自分の気持ちを代弁してくれる話”に出会えた喜びは大きい。
本作はそう言った点においては“時代に逆行してる女性”が描かれてるような気がする。
ここまで“思い込みが激しい女性ばかりじゃないよなあ!”という気がします。
きっと池永さんの“思い込み”も激しいのでしょう(笑)

『アンクルトムズ・ケビンの幽霊』のように社会的意義のある作品もしくは、恋愛をからめたものであればもう少しせめて夢があったり勇気を与えてくれたりする話を書いて欲しいなあと思います。
読者の池永さんに対する期待は大きいのだから・・・

評価6点。    
2004年28冊目 (新作21冊目)


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