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『烈火の月』 野沢尚 小学館 - 2004年02月05日(木)

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野沢さんの作品は今まであんまり読んでなかったが、本作は彼の一般的なイメージが一新される作品である。

なんと“本格ハードボイルド作品”なのである。
原案はビートたけし主演で話題となった、「その男、凶暴につき」
本作の一章目のタイトルにもつけられているのであるが、主人公我妻が本当に組織からはみ出てる姿がとっても印象的だ。
でも彼には“正義感”と娘に対する熱き“愛情”があるのである。誰にも負けないほどの・・・

ストーリー展開はやや平凡で、途中で中だるみ感もあるのだが、やはり“マトリの女”こと烏丸瑛子の存在感の大きさを忘れてはならないであろう。
最後にとった彼女の行動(読んでのお楽しみ)は男性読者にしたら理解し辛い面もあるのだが、“強く生きる女の象徴”として描かれている点は見逃せない。
彼女こそまさに我妻刑事と“名コンビ”なのである。


あとがきに深作欣二監督への熱き想いを語っている。
きっと“マトリの女”の描写が深作監督のハードな映像世界に一歩でも近づいたという野沢さんの自負の表れでもあるのだろう。

汚職の多い昨今、我妻刑事のような刑事の存在こそが“一服の清涼剤”となっていると信じて本を閉じた。
まさしく“たかが小説、されど小説”である。

評価8点。    
2004年12冊目 (新作10冊目)




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