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『炎と氷』 新堂冬樹 祥伝社 - 2004年01月10日(土)

とにかく強烈で哀れな小説である。
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本作は“闇金融”を舞台としたアンダーグラウンドの世界をリアルに綴っている。
題名にもなっている“炎”こと世羅(競馬金融経営)と“氷”こと若瀬(風俗嬢専門金融経営)との対象的なふたりが正面を切ってお互い落とし入れる為に知能戦&肉弾戦を展開して行く所は迫力満点。

かつて親友だった二人がある事件をきっかけにお互いを潰し合う過程は読み応え十分なんだが、ちょっと描写が生々しくてキツ過ぎるなあと思うシーンが多々あるのが残念・・・
でも、それがなければ新堂さんの良い点が損なわれるのでしょう(笑)

あと、世羅と若瀬の周りを固める人間のキャラ等は読んでいて面白かったです。
でも著者の作品は当分は読みたくないなあと思ったりしたのは、ちょっと人間の本性をあぶり出しすぎてるのでしょうかね。


読み終えた人には、少なくとも借金の怖さを知る良い指南書となったことには間違いない。
5万円借りて5日間で7万5千円で返済しなくちゃいけないのだから。
年利にしたら怖いですよね・・・
あと、徹底した冷酷無比な回収振りは本当に度肝を抜かれる。
そう言った意味では悲劇に陥る前に読むのもいいかもしれませんね(笑)
とりわけ、若い方が読まれたら良い意味で自制することの大切さを学び取れるでしょう。

総括すると、本作はかなり読み手を選ぶ作品かもしれません。
私的に読後感が“痛快”というよりやはり“やり切れなさ”が残ったというのが正直な印象と言えそうです。

評価6点。

2004年冊目 (新作1冊目)



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