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『まひるの月を追いかけて』 恩田陸 文藝春秋 - 2003年10月29日(水)

恩田さんの作品はその高い才能を認めつつも未読が多いのだが(苦笑)、久々に新しい作品に挑戦してみた。
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奈良を舞台とした旅行記に近い物語だが、恩田さんの才能が発揮できた作品とはいいがたいような気がする。
恩田さんの既読の作品では『ドミノ』と『ロミオとロミオは永遠に』が大好きで、この2つの作品はまさに恩田さんしか書けない領域の作品だと思っています。
本作はどうしても上記2作と比べてしまい、不満が残りました。
個人的にテンポのいい作品を恩田さんに期待してるのも要因となってるのでしょうね。
ミステリー的要素も多分にあるのですが、読んでて結末が予想できた人も多いはずだと思う。

展開的には死人が出たりでハッとさせられる部分も途中であるのだが、いかんせん登場人物が魅力薄なんで感情移入しにくい点は否めなかったなあ。
特に研吾に関しては、ハッキリしないキャラが目立ってしまって作品自体をトーンダウンさせてる印象が強かったです。
彼は出家するのでしょうかね(笑)
読み進めて行く内に、もっとどんなことが起こるのだろうと期待してたのですが、展開が期待より月並みだったような気がします。

結局、失踪した異母兄を探しに行くストーリーより、旅行記としての印象の方が強いのがとっても残念。
奈良の観光名所の風景描写シーンに関しては、やはりプロの作家の描写は上手です。
遠方の方や旅行好きの方が読まれたら思わず奈良に旅行したくなるのかもしれませんね(笑)

登場人物すべてがもやもやしていて、読後も物足りなさが残った作品でした。
もっと物語りにグイグイ引きこんでいって欲しかったなあ。

こう言った雰囲気が好きな方もいらっしゃると思いますが、万人受けする作品とは言い難いと思います。
次作期待したいですね。

評価6点。


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