『燃えよ剣(上・下)』 司馬遼太郎 新潮文庫 - 2003年07月24日(木) 男が惚れる男ってなかなかいないがもちろん例外もある。 本作は土方歳三、新選組の副長として幕末の時代に命を燃焼させた人物の一代記となっている。 とにかく、彼のほとばしるエネルギーを少しでも分けて欲しいと心の中で叫びながら読みふけった。 《bk1へ》(上) 《bk1へ》(下) 《Amazonへ》(上) 《Amazonへ》(下) 彼の人生は“潔い人生”であった。 近藤勇や沖田総司が小さく見えて来るのである。 まるで歳三によって近藤や沖田が動かされていたかの如く・・・ それほど激動の時代であった幕末には土方歳三がよく似合うのである。 新選組に関してはいろんな解釈があるだろうから、ここでは触れたくない。 私たち読者は歴史学者じゃないので、小説を楽しみ歴史を楽しむと言うだけで十分じゃないだろうかと思う。 もちろん、土方歳三の素晴らしさをここまで淡々と当たり前の如く描写出来る司馬さんの筆力はまさしく天下一品だ。 とにかく豊富な資料読みに基づく安定した筆致で読ませてくれる。 上手すぎてどこまで架空の話でどこまで史実なのか私にはわからないぐらいである(笑) 現代小説と違って歴史・時代小説は風化されにくいのが通説だが、それにしても約40年前に書かれた作品とは思えない。 本来、点数をつけるようなタイプの小説じゃないかもしれないが敢えてつけさせていただきたい。 イメージ的に堅苦しい感じで思われてる方も多いと思いますが、ラブストーリーも盛り込まれています。 これがとっても切なくて儚いのである。 お雪が函館まで会いに来るシーンは涙なしには読めませんでした。 ちょっと引用しますね。 「来ては、いけなかったでしょうか」 「…………」 歳三は、ふりむいた。まぎれもなくお雪がそこにいる。不覚にも歳三は、ぽろぽろ涙がこぼれた。 あなたも血で染まった土方歳三の生涯を堪能してください。 “初志を貫くことの素晴らしさ”を少しでも学び取れたら、“ああ、本を読んできて良かった!”と思われることだと確信しております。 他の司馬作品にも通じることだと思いますが、若いときに読んだらその人の“人生観が変わる1冊”だと言えるでしょうね。 来年大河ドラマで新選組を放映されるみたいだが、本作は新選組入門書としてもベストの作品だと思います。タイムリーな読書となりました(笑) 評価10点。超オススメ 新選組関連作品リンク 『壬生義士伝(上・下)』 ...
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