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『明治おんな橋』 平山壽三郎 講談社文庫 - 2003年07月09日(水)

篠田節子さんの『女たちのジハード』の時代小説版と評されている本作。
作者の平山さんは『東京城残影』で第9回時代小説大賞を受賞されている。
直木賞作家の乙川優三郎さんを輩出したこの賞も第10回で終わりとなったのは非常に残念ではあるが、本作は平山さんの受賞後第1作となった長編小説である。

時は明治維新、江戸から明治へと時代が変わっていった時期。
過去にそれぞれ経緯があるも、時代の流れに順応し、エネルギッシュに生き抜いた3人の女性(美代・お倉・律)の物語である。
時代小説といってもかなり歴史小説的要素が強い。
西郷・伊藤・大久保等、時代の“つわものたち”が登場します。
まさに“歴史の影に女あり!”といったところでしょうか。

『女たちのジハード』と違う点は、本作の女たちは悋気を起こしはするが男どもを牛耳っている(笑)
それも三人三様に・・・
あるときは可愛くて健気に、でも根本的にはとっても逞しいのである。

女性ならではの、しなやかさというかしたたかさを十分に満足させられた一冊であった。男性作家でここまで女性心理を描写できるのは素晴らしいの一言に尽きる。
反面、男性の情けなさって本当に凄いですよ(笑) 
でも、まあ男ってそんなところもあるよなあと思わせられましたが・・・

個人的にはもう少し歴史知識があれば、楽しめ方も倍増したのになあと言う気持ちが強かった。
でも、とっても爽快感の残る作品です。
3人の中では美代さんがいちばんタイプかな。そう言った読み方も出来る作品なので読者にとっては嬉しい限りですね。

評価8点。



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