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『ジゴロ』 中山可穂 集英社 - 2003年06月21日(土)

ひさびさに中山可穂さんの作品を読んだ。
タイトルのネーミング(『ジゴロ』)がとってもよい。
内容はいつもの(笑)レズビアンものだが、いつもより軽く読めて心地よく感じた。
ディープなファンにとってはどうかわからないが、初めて読まれる方も違和感なく読める一冊かもしれません。
文章も意外と(?)爽やかに綴られてると思う。
読み進めて行く内に物語に入りこんでいけるようになる点はさすがだなあと思った。

ひとそれぞれにいろんな恋があるが、まさに究極の恋を描いている。
ストリートミュージシャンのカイが主人公となっている5篇からなる連作短篇集だが、カイが少ししか出てこない篇もあっていろんな女性の生き様を体験することができる。

それにしてもカイって言う人は不思議な魅力を持った人だ。
年上の既婚者好きと言う設定がいいのかな。でもよくもてるが年下には見向きもしない。
彼女が恋人の(?)メグに対して嫉妬するところが一番の魅力かなと思ったりします。

各篇それぞれ魅力ある人が意外と同性者を一途に愛しますが、本当に人ってわからないなあと実感させてくれます。
かえって同性愛者が読んだら共感できないかもしれませんね。

個人的に好きな篇は皮肉にもカイがステディな関係を結ばない「恋路すすむ」と「上海動物園にて」です。

「上海動物園にて」の順子さん、とっても魅力的です。それとラストの携帯電話のエピソード、メグに対するカイの気持ちがとっても上手く表現されていると感じました。

読者にとってちょっと興奮し、逆に冷静さを取り戻させてくれる作品だと思います。

評価7点。




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