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『黄色い目の魚』 佐藤多佳子 新潮社 - 2003年06月17日(火)

きっと読み手を選ぶ小説なんだろう。
みなさん、絶賛されてるのでちょっと感想をアップしにくいのですが(苦笑)、以前『冷静と情熱のあいだ』を読んだ時に感じたのと同じような気持ちになった。
性別・年令によって随分受け止め方が違ってくる典型的な作品だと思う。
個人的には20年前に読みたかった本ですね。

江國香織さんのファンの方には合う作品なんでしょうね。
文体が合わないというかちょっと歯切れが悪いというのか、どうしても、普段、山文さんの現実的なグサリとくる恋愛小説を敬愛している私としたらちょっと物足りないというか、現実離れした話なのでちょっと留保を付けたく思う。
いや、高校生に取ったら現実なのかもしれませんね。私が年を取りすぎたのでしょうかね。
でも『翼はいつまでも』には感動したのですよ。『翼はいつまでも』のように万人受けもしないような気がしました。
きっと女性向きの作品なんでしょうね。

森絵都さんの『永遠の明日』は完全に過去を卒業アルバムを見るように回想している話なんで、懐かしんで読むことが出来るために心地よかったけど、本作は現在進行形で進んでる話なんでちょっと視点が違いすぎてどうかなあと・・・

あと名作『しゃべれどもしゃべれども』の強いイメージがあるのでギャップが生じたのも事実です。

うまく2人(木島と村田)の心のゆれを描いてるんでしょうが。
主人公が2人なのが受け入れられなかった原因かもしれません。
片方に焦点を当てればもっとスムーズなのにと思ったりしますが、評価されてる方はそこがいいのでしょうね。
ちょっと欲張りすぎたかなあと思ったり、あと木島クンの身勝手さが目についたり(女性が読まれたらそんなに感じないと思いますが)

ピュアすぎて馴染めないのはわかってるのですがね。
男心より女心を揺さぶる作品なんでしょう。
でも完読出来たから褒めてやってください(笑)

でも、女性の友人には勧めるつもりでいます。
「私はあんまり面白くなかったけど、きっといい本だから読んでみてね。」ってね(笑)

評価6点


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