『FINE DAYS』 本多孝好 祥伝社 - 2003年05月05日(月) 4編からなる比較的長めの短編小説集です。帯に恋愛小説と書いてあるが読者が一般的に持っているイメージの恋愛小説じゃない。まるで大人のおとぎ話だ。 《bk1へ》 《Amazonへ》 どれもが『生と死』をテーマとしているが、非常に美しい文章の為に重々しさはなくあっという間に読めます。 どの短編がいいかは読まれる方によって違ってくると思いますが、私は表題作以外の2編目以降の作品は皆同じぐらい良かったです。 構成もしっかり出来ており特に「シェード」の老婆の話なんかは女性向けする作品かなあと思います。 「イエスタデイズ」は逆に男性受けかなと思います。 女性からしたらお父さんがちょっと身勝手に感じるかもしれませんね。 金城一紀さんの『対話篇』に似たテイストの作品ですが、本作の方が癒してくれました。 本多さんの作品って、日頃われわれが日常生活において直面していることからちょっと外してくれて心地よく入って行けますよね。 苦しいことを忘れ、心地よい気分に浸れるという点においては、まるで子供が遊園地に行って楽しんでるような感じかな。 どの主人公も視点が読者と同じ位置あたりなのが強く共感を呼ぶ一番の要因だと思う。 この作家こそ本多ワールドという言葉があてはまる作家かもしれませんね。 この人しか書けないという世界の文章だと思う。 評価9点。オススメ ...
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