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『吉原御免状』 隆慶一郎 新潮文庫 - 2003年04月14日(月)

初読みの隆慶一郎さん、期待通りの面白さでした。隆さんのデビュー作となる本作ですが、時代考証等もよく他の作品を読むにあたってのモチーフ的な作品となっているようです。
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登場人物のユニークさと物語の展開の妙が抜群な話です。まさに謎が謎を呼ぶ話と言っていいでしょうね。

まず、主人公の誠一郎がとっても爽やか。天皇の隠し子で無敵の剣豪です。出会っていく人々に暖かい眼差しをもって接して行ってる点はとっても好印象。後に師匠の宮本武蔵が幼少の彼を引き取ったいきさつが明らかにされて行きますが、とっても興味深く読めます。特に歴史に対して興味の深い人が読まれたら楽しめること間違いないと思いますよ。

それとなんといっても幻斎の存在がこの物語の一番のキーパーソンとなっている。
一筋縄でいかないこの人物が物語の奥の深さの象徴と言えそうです。

あと登場する女性たちも本当に見事というか圧巻です。特に勝山の存在は裏主人公と言ってもいいんじゃないかなあ・・・

『神君御免状』に対する、様々な人の思惑が入り乱れて読み応え十分ですが特に柳生一門(表と裏=ここでは兄と弟との争い)がとってもリアルに描かれています。

あと、“この人(たとえば家康)の正体は実は○○○○だった”とかいったレトリックもかなり使っていて興味は尽きません。

とにかく、1冊で歴史上の勉強だけでなく吉原ならではの濡場シーンも堪能出来(笑)とっても楽しい作品となっている。隆さんの柔軟な発想、凄いのひと言に尽きます。でも基本的には治外法権的なイメージの象徴として吉原を描いてるみたいです。
史上の人物に対する今までのイメージが変わってくること請け合い。でも納得出来る(というかさせられる)点がとっても見事です。
ただ、あんまり歴史に興味のない方はちょっとキツイかなあという気もします。

私的には、ちょっと日本史の基礎知識不足なんでもう1度じっくり読み返したい1冊でもあります。再読すればもっと評価の上がる作品と言えると思います。
続編もあるみたいなんで手にとって見ようと思います。エンターテイメント大作と言えるでしょう。ジャンル的には伝奇小説という感じで良いのでしょうね。

評価9点。オススメ!


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