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『動機』 横山秀夫 文春文庫 - 2003年04月11日(金)

この作品を読むと“みんな一生懸命生きているんだなあ”という事を思い出させてくれる。
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とっても人物造型が上手くて、心の動きが手に取るようにわかり、読んでいてゾクゾクしてくる。

他作品の警察官主体の主人公からは少しかけ離れていて、全4編からなる短編集だが、2編目以降はすべて警察官以外の人が主人公を張っている。
いつも思うのだが、横山さんの小説の特徴は身近な人がどんでん返し的な役割を担うことが多い。これを読者は日常生活に置き換えて読ませる。

3編目の「ネタ元」以外はどれもが作品の根底に“家族を大切にしよう!”という主人公の思い入れが強く滲み出ている点が熱くさせてくれる。

どの話もドラマチックでミステリー度も高い。
とりわけドラマ化された「動機」と「逆転の夏」は素晴らしいのひと言に尽きる。

「動機」“人と人との絆の大切さ”を思い起こさせてくれる。
上司と部下・夫婦・親子それぞれの絆の深さが心に沁みる。

「逆転の夏」は主人公が殺人者なれど、共感してしまいます。感情移入という点ではこの作品は本当に凄い。横山さんにやられた!という感じの作品でしょうね(^。^)
主人公に対して“魔がさした!”という言葉で許せないかもしれませんが許したい気分になってきます。暖かいまなざしで物事を見つめる事が出来ますね。

全体として硬派な力強い文章が読後感をより爽やかなものとしてくれます。

他の作品に比べて、“人間の倫理観”を強く押し出している。それとミステリーを読むにあたってとっても興味深い“ラストの大逆転の醍醐味”を味わえます。

初めて横山さんの作品を読まれる方にはこの作品を是非オススメしたい1冊です。

評価9点。オススメ!



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