『手紙』 東野圭吾 毎日新聞社 - 2003年03月21日(金) 久々に東野さんの力作を堪能させていただきました。 区切りの50作目。社会派大作といったらいいのでしょうか。 《bk1へ》 《Amazonへ》 強盗殺人を犯して刑務所に入った兄を持つ弟の苦悩を描いた物語です。 とにかく、ストレート勝負で読者にグイグイと押し迫ってきます。 まるでノンフィクションを読んでいるようだ。 本当に起こり得そうな話を、いつもの読みやすい文体で一気に読ませてくれます。 小説の範疇を超越した小説!と言ったら言い過ぎでしょうか? 直喜と剛史はもちろんのこと、妻の由美子や社長の平野、登場人物すべての行動や考え、いずれも間違ってないという点にこの作品の力強さがあるような気がします。 一番描きたかったのは、身内に犯罪者を持つ人間に対する現実社会の厳しさもさることながら、尊大な究極の愛だったというのは読み終えた方なら理解して貰えるんじゃないかなあと思ってます。 この作品で描かれてる兄弟愛のみならず、実生活において読者の身近な人に対する接し方もっと言えば人生における価値観も改めて考えさせてくれる1冊です。 無駄のない文章と言う点も含めて、名作『白夜行』を超えた東野さんの代表作かなあと思いました。 とにかく読んで下さい。胸が張り裂けそうになる作品です。いつまでも読者の心に色褪せることなく残るでしょう。 『兄貴、俺たちはどうして生まれてきたんだろうな。』 評価10点。 超オススメ! ...
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