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『螺旋階段のアリス』 加納朋子 文藝春秋 - 2003年03月14日(金)

子供の頃の夢を実現する為に30年勤めた会社を辞め、探偵事務所を開いた仁木順平、ある日、事務所でウトウトしている時に、ビルの非常口につながる螺旋階段からひとりの美少女が白い猫とともに登ってきた。彼女は「探偵の助手になりたい」と言うのであった・・・

加納さん得意の日常のどこにでもありそうな事件を、サラッという文体で読ませてくれます。
ただ今回は、探偵事務所というシチュエーションの為に今までの作品とはちょっと違った感じとなっている。全7編からなるがほとんどが夫婦間の問題を題材としていて読者にそのあり方を投げかけてくれている感じがする。

なんと言っても、2人のアリスフリークである少しシャイな仁木と機転の利く安梨沙のコントラストがとってもよく、最終編での妻鞠子の登場も物語の謎を一気に解決してくれています。
各編ともにルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」内でのストーリーを取り上げていて、作品全体をより味わい深いものとしている。
個人的には「螺旋階段のアリス」と「最上階のアリス」が好きです。

安心して読める作品です。読んだあと優しい気持ちになれる1冊と言えそうです。

評価8点



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