「幸福な朝食」 瀬尾まいこ 小説現代3月号掲載 - 2003年03月09日(日) 追いかけて行きたい作家の瀬尾まいこさん、雑誌掲載短編を読みました。 今回は家族4人が揃っているシチュエーションでの物語となっている(厳密に言えばそうではないのですが読んでのお楽しみという事で・・・) 相変わらず、ユーモアを交えたセンスあふれる文章は目を見張るものがあって、引き込まれます。 内容的には『卵の緒』の2編に比べたら感動的な物ではないが、家族のあり方という観点においてはこちらの方がインパクトが強い作品となっている。 主人公(中2の女の子)も含めた家族4人の描写がとっても秀逸。 途中でわかる5年前の出来事から、今の姿がとってもよくわかる様に描かれていて一気に感情移入することが出来ました。 瀬尾さんの表現力の確かさは例えば主人公と直との絶交のシーンで顕著に表れています。(これも読んでのお楽しみという事で・・・) 結局、この家族はみんな誰よりも純粋なんだと納得しました。 坂戸君とのお別れのシーンはじーんとくること間違いないでしょう。 家族のあり方を上手く描いた秀作といえると思う。 読んだあと幸福感がきっと得られると自信を持ってオススメできる作品です。 『もし、佐和子が蹴飛ばされたら相手がアントニオ猪木でも小公女セーラでも俺は絶対やっつけるよ」(中略)「佐和子のためならアントニオ猪木みたいに強くても勇敢に戦うし、セーラみたいにか弱くてかわいそうな相手でも同情せずにぶっ飛ばすってこと。』 評価9点 オススメ ...
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