|
2日続けて 漫画原稿を守る会でのお手伝いに行って来ましたん。 今回、さくら出版の元社長、N編集者から 大量に取り戻した原稿の中に4作、 あたくしの過去の作品もまじっていたのでした。。 ウチの子がとんだご迷惑をかけてしまいました。
2万1千枚を越える生原稿の整理 確認。 それはもう気の遠くなる作業だろうと そうとう根性と気合いを入れて行ったんですのよ。
ところが 逆に エネルギーを注入してもらって帰って参りました。
生原稿のパワーはすごいわ。 それが2万を軽く越える量なのよ、お嬢様。
そんな数の生原稿を 一介の漫画家が自由に見られる機会など 普通はありはしませんわよ。 自分で2万枚描かなけりゃ。。。。 ……くらくらっ。。。。
分類してある原稿を さらに封筒をまた全部開けて、 中身の原稿と枚数に間違いがないかどうか 調べて調べて調べまくる。 ほんとにたまにぽつんと間違えて 他の作家のページが紛れ込んでいる事もありましたが ほんとにちょっとだけ。 今回のさくら出版の返却原稿が かなりページが抜けていた、ということは ちょっと事故とは考えにくいわ。 2万枚以上の原稿が、 ちゃんと封筒にページ数通り入っているのに、 どうして大御所先生方の原稿だけ ごっそり抜けていたのでしょう。 同じ人間が管理していた原稿なのに。 これは素朴な疑問ですわ。
とにかく、まず数人で手分けして あいうえお順に並んだ段ボールの中の 封筒を確認するわけだけど、 まっ先にあたくしが手をあげ、 「藍まりとっ、『あ』行をやりまするっ!!」 と段ボール3箱を抱き締める。 この中に あたくしの原稿が混じっているのよ。 十年前のものなのよっ。 なんぴとたりともその原稿に手を触れてはならないっ。 羞恥プレイもここまできたら命にかかわる問題なのよっ。
実はお手伝いに行く前の日、 我が家の禁断の押し入れを開けて 封印された過去の作品をおっぴろげたのよ。 今回、返却された原稿を確認するために 当時の本か刷り出しが残っていないかと。
ほんとに命にかかわるかと思ったわよ。 あまりの自分のへたれ具合に。
描いている時は一生懸命だし、 そこそこのものが描けている(はず!)と思い込んでるし そう思ってないと お金なんかもらえないけど、 そこそこじゃない。 ちっともそこそこじゃなかったわよ〜〜(TT) もうどうしたらとうろたえるほど。。。 今でも充分未熟だけど さらに強力に未熟な過去の原稿の数々が。 これを誰かに見られたら死ぬ。 印刷された物ならアキラメもつくけど 生原稿はナマモノですっ。 すでに腐っていますっっっ。 愛しい原稿が帰って来て迎えに行くと言うよりも これを誰の目にも触れさせてはならぬ! 隠さねばっ!! という強い使命感で お手伝いのついでに受け取りに行きましたのよ。 決して隠すついでにお手伝いに行ったのでは……
しかしその現場で 同じ思いの作家さんに遭遇。 御自分の原稿を確認し終わったその作家さんに 「これでまた再録とかできるわね」 と先輩作家さんが優しく声をかけた時 「再録とかは考えていないです。 戻ってくればそれで。 未熟な作品ですし、恥ずかしいから」 とお答えになったの。 他の先輩がそれを聞いておっしゃった。
「大丈夫になるわよ、あと5年もたてば」
その場に居た皆は大笑いでした。 「5年立てば居直れるんですか?」 という質問に、その先輩
「今はちょうど過去の自分が下手に見える時なのよ。 もっと時間がたてば、過去の自分の良さが見えて来るの。 今では描けないな、と思う生き生きとした線とか 勢いとか、そういうものが」
素敵です。師匠と呼ばせて下さい。 でも あたくし、、、 いいかげんそういう時期になってもいい お年頃のはずなのに。。。。。
なんだかもう。 トーン貼ってる場合じゃないわ、 線なんか問題以前。 デフォルメが下手とかそういうレベルじゃない、 デッサンやりなおせ という次元なんですのよ(TT)
そこにあった山ほどの人様の原稿が どれもこれも手が届かないほどうまく見える。。
この中にも「見ないで〜」と思っている作家さんは きっとたくさんいるに違いないわ。 でも、封筒を開けて、 原稿に間違いがないかどうか調べるには 嫌でも見ないといけないの。 ごめんなさい。 これは お手伝いに行けた人の役得なのっ。
確認している中に偶然 好きな作家さんの原稿を見つけて ほれぼれと眺め倒す。。。。
こんな事、普通はできません。
たとえば編集部に行って、 そこで編集さんが好き作家さんの原稿を 処理していたとしても、 なかなか「見せて下さい」とは言えませんのよ。 ちらちらと盗み見、 その編集さんが懇意な方なら 「見せてもらってもいいでしょうか?」と おずおずびくびくと尋ねてみる。。。 ちょっと待って、この写植貼り終わったら、 なんて言われようモノなら おあずけをくらった、腹ぺこの犬のように よだれをたらさんばかりに それをじ〜〜と待っちゃったりするのよ。 「よし」が出ると それはもう 本気で穴が空くと心配されても仕方ないほど まじまじまじまじまじまじまじと。 慎重にはじっこを挟むように持ち、 絶対に指紋などつけないように 細心の注意を払う犯罪者のように。
アシスタントに行った先の先生の原稿、 親しい友だちの原稿、 普通はそれくらいよ。 人様の生原稿に直にふれられるのは。
はっきりいって 2万1千枚の生原稿のただ中に座り込んで ものすごく幸せでした。 そのどれもがすごいパワーでした。
一日目に確認は終わらず、作業は持ち越しになりましたけど 終電真際、バイクで、賛同者のひとりである編集さんが お手伝いにかけつけてくれました。 やり方を説明した後、 あたくしは入れ違いで帰ったんですけど、 次の日聞く所によると その編集さんの作業がいかに早かったか 驚くばかりだったと。
さすがだわ、と思いましたとも。 原稿を扱う事にかけては漫画家よりはるかにプロです。 「あの人が3人いたら確認は一日で終わっていた」とまで。 あたくし達漫画家は 人様の原稿を扱う時はびくびくものです。 慣れてないから。 それでなくても数を数える作業、 皆 作業中は黙々とやっていたのよ。 29,30,31,とか数えている時 「今 なんどきだい」なんて聞こうものなら もう大変。 それだけ熱心にやっても やっぱり編集さんにかなわないみたいん。
この膨大な原稿の山を見た漫画家たちは ほとんど例外なく絶句して驚きましたけど、 その編集さんは 「なるほど」とつぶやかれただけ。 慣れていらっしゃるのかしら。原稿の山に(^^;)
なんだか しみじみと やっぱり編集さんは漫画家の頼りになる相棒なのね と実感してしまいましたわ。
この返却原稿にしても なんだかんだ言って けっこうきちんと揃っていたのよ。 この原稿を保管していたN編集者、 その同じ人物であるN編集者が どうして今回のような事件を起こしたのか。。。 何があってそうなってしまったのかしら。 人生はわからないわ。 でも人生はいつでもやり直しができると あたくしは信じてるのよ。
この原稿の山の中には 一人の作家さんのデビュー作から、 あるいはデビュー前の投稿作から 揃っているものまでありました。 N編集者が見つけ、育て、 一緒に仕事をしてきたんでしょうに。
あたくしもN編集者と仕事をした初期の頃 ネームの不備を 的確に指摘してくれた事を思い出したわ。 いいかげんに見えるけど、 ちゃんとネームが見られる編集さんなのね と、あたくしは彼を評価したわ。
人生はわからない。 でも人生はいつでもやり直しが以下同文。
やっと親元に帰る、 2万1千枚以上の原稿にもらったパワーは 半端じゃありませんでした。
とりあえず整理は一段落ですが これからまた、できるかぎり、 古い知り合いの作家さん達に連絡を取り 原稿返却のお手伝いを続ける予定。
すでに何人かと また会う約束も(^^)♪ 思わぬ所で同窓会だわ。 でもやっぱり 昔を懐かしく思い出すどころではなく、 これからの原稿 これからの作品 これからの人生が中心の話題なんだと思いますわ。
早く 過去の自分の良さが見えるところまで たどりつきたいあたくし。 とほほ。 一生 たどりつけなかったらどうしましょう。 とほほほ。
|