白い原稿用紙

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2003年08月22日(金) 越前さまにお願い

錯乱して日記を書きに来たつもりはないんだけど
やっぱり ある種の錯乱かしら。

コミックスにするための原稿を戻して頂き、
手直しの真っ最中。
あれこれ原稿に手を入れたり
ホワイト忘れやトーン忘れを塗ったり貼ったりしつつ、
この時は時間がなかったのよね、
この時はあのアシちゃんが来てくれたんだっけ、
そうそうこの時はしんどい事件があって、
などと思い出しながら手を入れてるわけなのよ。

そうやって原稿に手を入れているうちに、
今回の原稿流出事件で
「本当に所有権は漫画家にあるのか」と
疑われてしまった
被害者の漫画家さんの胸の内
その無念さや くやしさや 悲しさを思って
やり切れなくなっちゃって 錯乱。
著作権法はけっこう穴だらけだと聞くんだけれど
漫画というもの自体が歴史が新しいし
あまりにも特殊なものなので
確かに難しいのかも知れないわ。

「これはあたしのものなのよ〜〜〜〜」
という事さえ認めてもらえない著作物っていったい。。。。

金銭の利益が発生する権利については
いろいろ議論があるでしょうけど
その金銭的価値がなくなった時の紙切れを
描いた本人以外、あるいは熱烈なファンの他に
誰が欲しがるというのかしら。。。。

今 直しを入れている原稿の担当編集さんは
あたくしはとても信頼しているわ。
もっとも信頼出来ない方とはお仕事のやり方を考えるけど。
いろいろ痛い目にあってるし。
時の人、西池氏とすらお仕事しちゃった前歴があるし
いろいろ勉強させて頂いちゃったわ。

今の編集さんは
こちらの進行具合や体調も考えて
スケジュールの都合をあれこれ付けて下さり、
この作品の読者へのサービスも一緒に考えて下さり、
感謝してもしきれないくらいなのよ。
こういう編集さんが
「原稿の所有権は私にもあります」とおっしゃるなら
喜んで差し出します。
でも実際は原稿の管理はけっこう大変なので
差し出されても困ると思うのでやめておきます。
……というよりそういう編集さんは
漫画家の原稿の所有権は
あたりまえに認めて下さっているので
差し出されても返されちゃうかと思いますが。

でも編集さんがそうでも
所属する出版社がそうでない場合、ややこしくなりますけど。

それでも
今まさに原稿が売られて行こうとしている時
それを止めようと一番必死になるのは漫画家。

損得抜きで取り戻したがるのは描いた本人。
金銭を生むもの、どころか、身代金を要求されて
大損をこいたとしても 取り戻したいのは
他にはいないこの事実。

ソロモン王や大岡越前なら
この一点の事実だけでも
「生原稿は漫画家のものである」と
認めてくれそうなものだわ。

漫画を描く仕事をほんとうに『仕事』として
割り切っている人もいるでしょう。
人それぞれだし、
そういうやり方もアリなあたりがおもしろい世界。
でも多くの漫画家は 著作権法にあるように

  思想又は感情を創作的に表現したもの

というスタンスで描いていると思うわ。
利益を生み、食べて行く手段としてだけ
割り切れるものではないのよ。

 などといろいろ言いたい事はあるけれど、
とりあえず、
今信頼している編集さんを困らせないために
仕事に戻る事にするわね。
でもきっと手を入れている間中、
このやりきれなさは続くのね(TT)

手を入れてなくても気になるけど
実感として迫って来ちゃうのよ。
その無念さが。

こんな気持ち、今は漫画を描かなくなった
まんだらけの店主さんには
思い出してもらえないんでしょうか。


藍まりと |MAILHomePage

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