あたくしは仕事中に食事をするのがキライでございます。 まあ、それを言えば、トイレに行くのも嫌いなら その他の雑用で席を立つのも全て嫌い。
仕事中はトイレに立つのも厭、というのが 漫画描きに膀胱炎が多いゆえんなわけですけど。
もともと、食べる事があまり好きでないあたくしにとって 仕事中の食事は、トイレよりメンドくさいのよ。 でも栄養を摂取しなければ 体力がもたない。 それは栄養補助食品で補っているけれど (科学的なお薬ではなく、ちゃんと食品から抽出した栄養です) 栄養をおぎなっても、「お腹が空く」という事実はなくならないわけで 気が散ります。 しかたないので 無理にでも食べます。 それにしても「食事をするのが厭」なんて 呆れるほどわがままで贅沢な厭がり方ですこと。 自分の命を継続させるために 他のもの(動物や植物)の命を奪っている癖に。 さらの食べる事がままならない人がたくさんいるのに。。。。。
これはあたくしの永年のコンプレックスでございます。
今日は、それでも なんとか楽しく食事をしようと、 楽し気なものを用意して、さらにもう腹を決めてビールも。
これは 昔からの仕事中の習性ですが 原稿を描きながら食事をしておりました。 ナポリタンの小皿。 マカロニサラダ少々とスモークサーモン2切れ。 おいなりさんひとつ。
原稿を汚してはいけないので かたわらに置いた別テーブルの上に置き、 そこに箸をむけようとしたとたん、 机の端においていたインクをたたき落としてしまいました。
や〜〜ん、 インクこぼすのは久しぶり。(でもないかしら)
こぼしてしまった絨毯と机、膝掛けを処置して 汚してしまった上着も洗う。 これくらいは 日常茶飯事のあたくしはへいちゃらです。 こういう時のために。インク瓶はかなり小さい、 口の狭いものを使っています。(日常茶飯事の証拠)
でもさすがに、ちょっとひるんで、仕事の手を止めて 疲れて冷たくなり始めた手のリハビリのため、 右手でご飯を頂きながら 利き手の左手にトルマリンの原石の団体さんを握り じゃらじゃらしておりました。 でも「ここの仕上げはどうしようかしら」 とか考えながら 原稿を睨んだまま。 その時、 トルマリンの その音にひかれて 愛猫のキスケがかっとんで参りました。
子猫の頃から音の出るおもちゃが大好きだったので おもちゃらしき音がすると どこからでも かっとんでくる習性がついているのです。
でもいま 5キロの 決して子猫とは言えないその身体。
机の上のお茶に足をつっこみ、蹴倒し、 さっきこぼして、まだ少し残っていたインク瓶を ふたたび かっとばしてくれました。 あたくしの努力もむなししく インク瓶は空になるほど すべてのインクはこぼれ 先ほどと同じように 絨毯、机、膝掛けとふきとります。 それでも原稿が無事なのは さすがプロねあたくし。 いいのよ ちょうど そろそろインク瓶の中身を入れ替えた方がいい時期だったから (継ぎ足して使っていると濃くなってしまって使いづらくなるの)
しかし。
プロとは言いがたい出来事はこのあとのこと。
落ち着いて 一服しようとタバコを探していた時 ちょっとしたはずみで ナポリタンの小皿をかっとばしてしまったらしいの。 らしい、というのは、 忽然と消えた小皿がどこにあるか しばらく見つけられなかったから。 足下のどこにも 飛びそうなどこにも見当たらないのよ。
しばらくして みつかりましたわ。
それはペン入れが終わった原稿の上。。。。。。。。 白と黒が織り成す、漫画原稿の美しいコントラストの上に オレンジ色のナポリタンの油が それはもう 色鮮やかにたっぷりと。 どこをどう かっとばせば 原稿の上、という位置に その小皿がとばせたのか わかりません。
気を鎮めて、どう処理すればいいか 原稿を睨みました。 被害がひどいのは 上半分。 下半分は修正液でなんとかなりそうな枠の外。 (油で 裏までしみているので、両刃カミソリの技はききません) 上半分を書き直して切り張りすることに決定。
決定したので、落ち着いて、とにかく食事を続けようとしたら、 万年 風邪気味の お鼻がむずむずと…。 ここで くしゃみなどしてまた原稿を汚しては大変と とっさにティッシュを掴んでお口にあてたものの はんぱでない勢いで出た くしゃみは 2重のティッシュをつきやぶり、 なんとか無事だった 下半分の 原稿に向かって一直線に.....
これで ますます食事が嫌いになるのは 逆恨みというものよね。 まず、まともな漫画描きなら何か食べながら原稿をさわるなんて そんな暴挙はけっしていたしません。
ここで、それがどのページだったかを言えば あとでまた、読者ちゃんがお読みになった時 思い出して ばかばかしい気持ちになってしまうのは必至なので 言わない方がいいに決まっているのに 言いたい。
そのページのセリフ…。
「こいつは ホントにもう やってくれるぜ」
あたくしはこのセリフを そのまま自分自身に叩き付けたく思います。
これが 明日締め切りのギリギリ原稿でなかった事を 心の底から感謝せずにはいられませんわ。 お腹もふくれた事ですし、 気を取り直して 原稿の書き直しに言って参りますっ!!
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