Kyoto Sanga Sketch Book
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2005年06月18日(土) W杯出場決定。4年ごとの幸福に向けて。

遅くなりました。北朝鮮vs日本の日の記録です。。


引き分け以上で日本のW杯出場が決まる。
前回ホームでの試合での運営に対するペナルティとして、
北朝鮮のホームゲームは、第三国(タイ)での無観客試合。


帰途を急ぐ。
こんな南の地方都市でも、駅前の大ビジョンに若者たちが大勢集まっている。
シートをひき座って居るもの。青いユニ群。太鼓の音が聞こえていた。
何十メートルにもわたって、若者たちを中心にどんどん人垣ができて来る。

タイの無観客の異様なしずまりかえったスタジアムの上に
それと対照的な日本各地の賑やかな応援スポットが重ねられた。
どこも若い人たちで溢れている。

日本全国に非日常の時間がはじまる。



あるジャーナリストが仏W杯の時、日本代表をとりまくイメージを「青春」と表現した。
サポーターであることも青春の一部のようだと。
スタジアムやバーや街で飛び跳ねるサポーターの年齢の低さ。
日本サッカーが置かれた状況が若者たちの心を特にくすぐるんだろう。
野球や既存のスタイルが確立した他のスポーツが高年齢層をとりこんでいるから、とは言え、
10年たっても年齢は上がらないどころか、下がってすら見える。
ある長年代表を応援している三十代、四十代の男性が「ゴール裏に行きにくくなった」と愚痴るのも仕方ない。
カテゴリーによっては、二十代ですら行きにくいと。



さて、ちょいおとなは家で見ますか。




試合は日本が高い位置でボールをキープして進んでいた。
しかし、もう後がない北朝鮮。守備は堅い。
よい形のシュートにもっていかせてくれない。

日本代表の彼らがシュートするたびに、
全国で悲鳴と嘆きの声が、響いているだろう。
北朝鮮のカウンターもだんだんと勢いを増してくる。

ようやく後半28分。
中央深いところから稲本が長いボールを前線に放り込んだ。
大黒が飛び、相手DFと競合う。ボールはこぼれ落ちた。
走り込んで来た柳沢が滑り込むようにして右足を出す。

日本1−0北朝鮮


スタジアムに観客は入ることはできないが、
スタジアムの外では熱狂的なサポーターたちが、
応援の声と鳴り物を叩いているのがかすかに聞こえ、大きくなる。
(一般的なJFLや地域リーグよりいくらか声が大きく聞こえるぐらいだ。)




後半44分。
1点差をつめようと、北朝鮮は攻めに人数を増やしていた。
わずかなマークのずれ。大黒が飛び出した。前にはGKただ1人。

意外とこんなのは難しいのよね…と思わずつぶやいた。
大黒は飛び出したGK正面で右足のボールを素早く動かし、体の方向をかえた。
もうゴールを阻むものは何もない。

日本2−0北朝鮮

競合おうとした中沢が宙から落ちるとき、
相手選手の頭を直撃した。瞬時に反応して蹴りをいれてしまった北朝鮮選手。
在日の李君が彼をなだめるのが映った。



これが幕切れ。
日本がドイツW杯に世界で一番乗りを決めた。
数分後、今日の対戦国の友人からメールが来た。

ドーハの悲壮感、ジョホールバルの昂揚感。
でも、今回はそんなものは始めからなかった。終わってみても安堵感だけ。

でも、サッカーファンにとっては特別な日。
サッカーファンでない多くにとっても特別な日。
ビールぐらいは飲まなきゃね。若者たちの歓声が日本を包んでいるだろう。

( この直後、タイ側の粋な計らいで日本サポーター達を場内に入れたらしい。
  選手とサポーターの交流があったそう。)





日本中、どの街でも同じ光景がこれからも永遠に4年ごと繰り返される。
いつか青春を終えた日本代表を、
私達はどんなスタンスで応援続けるんだろうか、と思いつつ。

朝、学校に行く支度をしつつテレビに目を奪われた。
地球の反対側で行われているW杯のスーパープレイ集。
あの、日本とは私達の日常とは全く関係ない遠い世界。

4年ごとにこの日のような幸福がつづくことを。


miyako |MAILHomePage

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