Kyoto Sanga Sketch Book
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2001年11月18日(日) 【J2仙台戦最終節】〜J2優勝セレモニー

■試合■

私達が狂喜狂乱するはずだった。
でも、昇格を決める為に仙台は死にもの狂いで襲いかかってきた。

負けた。

狂ったように騒ぐベガルタサポーターの前で
西京極のスタンドは静まりかえっていた。

友達が言った。
「はんなり、京都らしい昇格だね(笑)。」



■優勝セレモニー■


We are the chanpionが流れる中、
そして、スタンドのべガサポ達がまだ歓喜で大暴れしている中(笑)、
選手たちがうつむいて、でも次第に前を向いて一周する。

いいじゃん!優勝できたんだから。

エンゲルス監督がマイクに向かい、たどたどしく優勝と昇格を報告。
「デモ・・今日ハ、チョットゴメンナサイ。」

観客は大笑い。そう言えば一年前もゲルトは謝ってたヨ(笑)。
ほっとけない監督にほだされて、
げんなりした空気が少し優勝の実感にかわっていく。





すると驚いたことに、ベガルタサポ、
さっきまで狂ったように騒いでいた黄色いバックスタンドが、
私達に向かって一糸乱れず全く同じコールを始めた。
「京都サンガ!!!優勝!!!」

お互いにコールしあう2チームの大勢のサポーターたち。
高校時代の甲子園予選以来だよ。そんな光景(笑)。
くやしいけど、鳥肌をたててそれを聞いていた。






We are the chanpion.
だから、これでいいのだ。





〜京都駅特設ステージ〜


■関東まで僕らのホームですから■


2時間後。
京都駅に小さな特設ステージが設けられていた。
祭壇のような舞台の回りを
人垣がだんだん膨らんでいる。

「仙台のお客さんも連れてきました」
黄色いパーカーのベガルタサポの一団が
気まずそうに、でもうれしそうに立っている(笑)。

「すごい人数でしたね。何千人いたんですか?」と話し掛けると
「あれ、関東でのAway並みですよ。」
「えっ?関東までも仙台からあれくらい来るのですか?」
「だって、関東までは僕らのホームですから!!!!」


・・・よかった。関西で(凄い人たち)。





■Jリーグデビジョン2・順位発表■


ステージ上にあの44試合を戦い抜いた選手たちが並ぶ。
スタッフ、京都のたくさんのスポンサー企業を中心とした後援会の人々。
そしてサポーターたち。
サンガを支えてきた人々がすべてここに笑顔のまま集結している。


アナウンサーが舞台に登り人々を見渡した。
「では、2001年Jリーグデビジョン2の年間順位を報告します。
12位ヴァンフォーレ甲府。
11位・・・・・
2位、ベガルタ仙台。」

ここで特別参加のベガサポの一団が歓声をあげる(笑)。



「そして、1位ぃ!
京都!パープルサンガぁ!!!」



「おおっ!!!!!」大きな歓声がステージを取り巻いた。



盛り上がりはステージを取り囲み、私の外側をも取り巻き、
そして私の胸の中にも静かに広がって来た。
1位。勝ち取ったものは数字ではない。シンボル。
スターなき集団での44試合で勝ち取った優勝。

落ちたのも、上がれたのも、
そして、今日負けて、ベガルタの昇格を見届けたのも、
今となっては全て”定め”だったような気がする。

だから鏡開きの月桂冠の樽酒を飲みながら思った。
「これでいいのだ」





■炭酸ソーダかけってこんなもんかい?■



未成年も多い、今年の若いサンガ。
優勝の打ち上げはビールかけならぬ、炭酸ソーダかけ。
ね、かわいいでしょ(笑)。

ステージの下でしゃがみこむ私たちに
選手たちの手によって、いつまでもシャワーが飛んで来る。
「もーぉ!いい加減にして!」
立ち上って自分にかかり続けているシャワーの先をみると
・・・・ベテランGK、ピーコさんだった。
「ピーコさん、おとなげないよぉ!!!!」と言った私に、
ノグっさんの視線がこちらに・・・
「ぎゃー、やめてぇーーーー」

舞台の上では
一番年下の翔平くんたちが、先輩たちから集中砲火を浴び、
濡れねずみのように髪も服もびちゃびちゃだった。

ステージ上で逃げ回る若手選手に、先輩たちの容赦はない。
パネルの後ろに後ずさりしていた無傷の松井君にも、
先輩の手がかかるところだった。












そして・・・
いつしかステージ上に選手はいなくなり、
今度はサポーター達が次々に舞台にのぼってはしゃいでいた。
44試合を絶える事なく応援を引っ張ってきたアニキたちが
1年前には悔しさに顔を歪めていた彼らが
子供のようにはしゃいでいる。


酔っ払いサポ(笑)があちこちで歌を歌いだしている。
メロディだけはあの時と同じ。

1年前のその歌は鳴咽の入った悲しい歌だった。
でも、あの歌がここにサンガを導いた。


今年は今までの中で一番素敵なサッカーを見れたんだよね。
(そりゃ、今までもステキな選手は一杯いたけど(笑))

本当は多くの評論家が、主力なき京都の復帰は難しいだろう、と言っていた。
今では復帰は当たり前のように言われるけれど・・・。
シーズン前の評論家達の分析を覆したのは、ある選手のコメント。
「みんながお互いを守り合いたい、と思っていたんだ。」







■これでよかったのかもしれない・・・■


J2は不思議な場所だ。
J2の総合掲示板では祝福の書き込みが続々寄せられていた。

「おめでとう。サンガ&ベガルタ!」
「二度とJ2に戻ってくるなよ!」
「俺達と行き違いなんて嫌だぞ」
「当たり前さ。君らもはやくJ1に上がって来いよ!」

J2の連帯感は多分、J1という共通した敵が存在する事にあると思う。
世界に類をみない過酷なリーグを、日の光の当たらない場所で共に戦う同志。
”いつまでもここに居ちゃいけない”どのチームもそう思っている。
だから、接戦を制した2チームは、全チームの代表であり、夢である。

その事はちっちゃく心に留めておこうよ。
J1から持って行った物があった。
だから、J2からもらった物も持って行こう。













ところでさぁ、
まだ壇上ではサポーターのアニキたちが騒いでいるんだけど(笑)。
さてと、私達ももう一杯ひっかける前に
いつものように選手の追っかけをはじめるかぁ。



来年に続く宴はいつまでも終わらない。
We are the chanpion.
おめでとう、サンガ!











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