オモウコト。
幸希



 帰郷。


 私の街に帰ってきた。
 たった一時間の旅路だけれど。
 それでも全然別世界に感じるのは。
 なぜだろう。

 いつも厭だった田舎。
 何もないと。
 そして溢れすぎる思い出に。
 いつも飛び出したいと願っていた。

 でも。
 いまはそれさえも大きなもので。
 結局思い出なしでは生きていけないのだ。
 
 雪が吹雪いていて。
 前さえも見えなくて。
 でも。
 頭を下げる近所のおばさんが。
 少し腰が曲がってきていて。

 なんだかセンチメンタリズム。

 この街は。
 私の街。

2005年01月12日(水)
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