薔薇抄 *Rose Show*
INDEX|過去へのエピローグ|未来へのプロローグ
出会う順番に意味はあるのか。 なんてことを思う。 あの人ともっと早く会えていたら、わたしの人生はどう変わっていたか。 でも例えば10年前の自分と10年前のあの人が、今よりもっといい関係を築けたとは思わない。 だからきっと、出会えたのが今でよかった。 じゃあ、あの人より先に、この人と出会っていたら? あの人がいる位置にこの人がいるとは思えない。 だって、あの人もこの人も別の人で、あの人はこの人の変わりにはならず、この人はあの人の変わりにならないのだから。 先に出会ったあの人への気持ちは変わらず、後で出会ったこの人に対する気持ちは新たに生まれる。それを基盤にして、関係性は発展していくけれど、例えばそれまで一番仲が良かったあの人より、今はこの人とのほうが仲が良くなったとしても、あの人への気持ちは変わるわけじゃない。宝物の様に、ちゃんと残るはず。 ひとりひとりに対して、固有の気持ちと固有の関係性。 この人が、わたしとあの人の関係性を羨ましいと言っても、あの人とこの人と、同じ気持ちで付き合うことはできない。 どっちが好きかとかいう問題じゃない。 あの人はあの人で、この人はこの人で、わたしはわたしで、あなたはあなた。 そこに環境とか、状況とか、タイミングとか、気持ちや感情だけじゃないものが加わっていくから、先のことに不安にならずに、今このタイミングでできることを、生まれた気持ちを、大事にしていきたいだけ。あなたと。
|