薔薇抄 *Rose Show*
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顔が綺麗とか、すごい。 し、声がいいとかほんとにすごい。 しかも、同一人物に与えられた天賦の才能。
わたしが彼の、何処を好きなのかと言えば顔と声だし、何を知ってるかと言えば、顔と声です。それが全ての様に思います。 彼がすべてをわかっていようがいなかろうが、わたしが彼をわかろうがわかるまいが、だってやっぱり、知ってることしか知らないし、教えてくれてることだけは知っている。 今まで得た情報の処理だけで認識している彼は、もう全くわたしだけが知っている彼なのであり、だからわたしは世界一の彼の理解者なのです、本当に申し訳ないけれど。ごめんなさいね。 ていうかね、だからね、顔が好きっていうのは、駄目なの?薄いの?愛として。 まあ、わたしの愛はこの上なく薄いですが。
彼が見た目通りの人であることを、何より望んでいるのです。 ただ、ひたすらにそれを望んでいて、そしてわたしが知っているあの人は、まったくもってその通りの人であることに、いつもいつも、悉く満足し、安心します。 わたしが信用しているのは、彼のそういうところに他なりません。
ところで、一緒であることは大切ではないとわかっているはずなのに、どうして一緒だと気付けば気付くほどうれしかったりするのでしょうね。 ただ、パズルが嵌まったり、クイズに正解したときのような爽快感や達成感を得ているだけ? 理解できた、ということは、一緒だということと必ずしもイコールではない。 わたしなんかに彼女や彼を当て嵌めようという、おこがましい厚かましい許し難い冒涜。 一緒だから好きなわけではない。そんな自己愛なのではない。だけど果たして、自分を愛しているということは罪でしょうか恥でしょうか。 まあ、どっちだって良いのですけれど。
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