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最近己は夢の中で殺される。いつも決まった人に。 方法は様々。絞殺だったり、刺殺だったり。 簡単には死ねなくて苦しむ。 押し当てられる掌の異様なまでに鮮やかな感触を、喉に食い込んでくる指の形を、ナイフにかかった長い指の形を、はっきりと覚えている。 コマ落としのようにゆっくりと進む時間の中で、永遠にも思える苦痛の中で、己は微笑んでいる。 目が醒めるとその生々しい感触に薄ら寒い思いを抱く。同時に背筋を這い登ってくる恍惚に身を震わせる。
己は殺されたいのか。あの人に、殺されたいのだろうか。 否。おそらくは殺すほどの強い気持ちを欲している。殺意にも似た強い思いを己に向けて欲しい。 聞き届けられてしまった願いが、未だ果たされない約束が、果たされないが故に行き場を失って悶えている。 そういうことなのだ。
でも、もしかしたら本当に殺されたいのかもしれない。この世から消え去ってしまいたいのかもしれない。 きっとあの人なら己のことを跡形も無く綺麗に消し去ってくれるだろう。
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