さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月22日(水) |
にゃん氏物語 末摘花11 |
光にゃん氏訳 源氏物語 末摘花11
空は薄暗いが積もった雪の光でいつもより 源氏の顔は若々しく見えた 年老いた女房たちは目の保養を与えられて幸せだった 「さあ早くお出でにならないと そんなのではいけません 素直に」 と注意されると 人の言うことにはそむけない所があって身支度をして 膝でにじり出てきた 源氏は見ないようにして雪を眺めているが横目は 使ってなくも無い どんなのだろう この人から美しいところを見つけ られれば嬉しいと源氏は思うが それは無理な注文だった
第一に背中の線の長く伸びている 胴長なのが目に映った やはりと思う 次に並外れな鼻である 目が止まる 普賢菩薩の乗り物の象を想像する 高くて長くて先が垂れ下がった所が赤かった それが一番の容貌の悪さ である 顔色は雪よりも白く 青白い 額は腫れたように高いのに 下に 長い顔に見えるのは よっぽど長い顔なのであろう 痩せ細りは気の毒 な程で 肩のあたりは痛々しく見えるくらい骨が着物を持ち上げていた なぜ全部見てしまったのだと源氏は後悔しながら つい目が行ってしまう
頭の形と 髪のかかり具合は 普段美人と思う人にもひけをとらず 裾は 袿の裾をいっぱいにして余りが一尺もあると見える 女王の服装までも 言うのは はしたないが 昔の物語でも服装は真っ先に語られるので 書くことにした
桃色が古びて白く変色したのを重ねた上に何かの色が黒ずんだ袿と クロテンの毛皮でいい香りのものを着ていた 毛皮は古風な貴族の衣装 であるが 若い女には似つかわしくなく異様に目立つ しかしこの服装で なければ寒さに耐えられないような顔色をしているので 源氏は気の毒に 思う 源氏は何も言うことができない 相手と同じように自分も無言の人に なった気がした だけどいつものように何か言うのを聞こうとして尋ねた とても恥ずかしがって袖で口を深く覆っているのも野暮ったい 肘を張って 練り歩く儀式官の袖を思い出す 笑みを浮かべた女の顔は品がない 源氏は長く見ていると可哀想になって早く帰ろうとした
『誰も頼りにできない貴方と知って結婚した私には遠慮しないで欲しい 必要なものを言ってくれるのが 私には満足です 私を信じてくれないから 恨めしくなる』など早く出る口実を作って
朝日さす軒のたるひは解けながらなどかつららの結ぼほるらん 朝日で軒に下がるつららは解けるが なぜ地面に氷は張って解けないのだ と言っても「ふふ」と笑っただけで返歌が出そうに無いので気の毒に思い 源氏はそこを出ていってしまった
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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