現在新型コロナ感染症の渦中のNHKの朝ドラで、福島県出身の作曲家「古関裕而」を扱った「エール」が放送されています。感染症流行の影響でドラマの収録が遅れていて、果たして終わりまで行きつけるのか不明です。
政府の緊急事態宣言が全国的に解除され、さいたま市の図書館が新規貸し出しを今週から受付開始したので、早速「古関裕而」の歌曲のCDを予約し、本日「古関裕而歌曲集2」を受け取り早速聞いてみました。この歌曲集はソプラノ:藍川由美、ピアノ:斎藤京子の伴奏で、第一集が歌謡曲、第二集が「戦時歌謡」となっています。因みに「軍歌」は「軍」の命令委嘱で作られた曲で、「戦時歌謡」は戦時下の大衆の心の中から生まれた曲とのこと。収録されている戦時歌謡はえいがの主題歌とかNHKの放送用の曲となっています。
この戦時歌謡を聞いてみて、古関裕而の楽曲は非常に洗練されていて形が整っていると感じました。単純なピアノ伴奏とソプラノ独唱ですが、恰もシューベルトの歌曲のような雰囲気を醸し出しています。旋律は時に物悲しく、時に有機を鼓舞する自由自在なものがあります。古関裕而の曲を知ったことに加え、このCDで「藍川由美」さんというソプラノを知ったことは大きな収穫でした。ピアノ伴奏と一緒に藍川さんが古関裕而の意図は100%表出している技量と感性は、聞く前の予想を大きく凌駕するものでした。藍川さんは私と同学年であり、香川県宇多津の出身だそうです。歩き遍路で通った素敵な「宇多津」の遍路道を思い出しました。「香川県綾歌郡宇多津町」とは何と魅力的な名前でしょう。
ところで、この曲集の最後に「ああこの涙をいかにせむ」という曲が収められています。解説によると、長崎の永井博士の訃報に接した「サトウハチロウ」が書いた弔辞で、如己道にのこされていた原本を古関裕而が写して4部合唱曲にしたものだそうです。CDではソプラノ独唱で収められています。歌詞は以下となっています。
鐘鳴りわたり きよらけき 君がいませし日の如く あでにまばゆき長崎の 空と水とに溶け入りて ああいささかも過ぎし日と 変わらぬゆえにこみ上ぐる 涙を涙をいかにせむ
鐘鳴り続けり つつましく 君が祈りし日の如く 風におくられ長崎の 花と草とをおとないて ああいささかも過ぎし日と 変わらぬゆえにこみ上ぐる 涙を涙をいかにせむ
鐘鳴りおわれり うつくしき 君が歌いし日の如く 十字架(クルス)輝く長崎の 窓と人とをなぐさめて ああいささかも過ぎし日と 変わらぬゆえにこみ上ぐる 涙を涙をいかにせむ
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