午前11時頃買い物に出かける準備をしてから、パソコンで続きの作業をしていたところ、11過ぎに妻の職場から電話が入りました。「妻の希が頭痛と吐き気で倒れた。直ぐにオフィスまで来てくれ。妻は職場の同僚に付き添われて救急病院に向かった」というものでした。妻は朝8時前に何時もと変わらずに仕事に出かけました。「突然の頭痛・吐き気」という言葉に瞬間的に妻の母、妻の弟さんの病気のことが思い浮かびました。
職場から救急搬送されたとしてもそれ程遠くないだろうと推定してとにかく急いで新橋に向かいました。武蔵浦和発11時52分の埼京線で赤羽にでて丁度来合わせた「上野東京ライン」に乗りました。上野東京ラインの電車の中で虎ノ門病院の女性医師から電話を受けました。「妻は脳出血で虎ノ門病院に搬送された。緊急手術する必要があるが、その前に脳の出血場所を特定するためカテーテル検査をしなければならない。危険もあるが手術には欠かせない。了承してもらえるか。私が病院に到着する前に検査を始める必要があるかもしれないので了承してくれ」というものでした。
新橋にある妻の職場に向かうのは後にして、職場から遠くない「虎ノ門病院」に向かい午後1時前に病院の到着しました。総合案内で案内された緊急搬送受け入れのB1緊急治療室出口でベッドで運ばれる希に出会いました。これから4Fの検査室に向かうところでした。検査を担当するという若い医師から急いで検査の概要・危険性を伺い同意書に署名して妻を送りました。妻は午後1時過ぎに検査室に向かいました。眠っているようでした。
検査は2・3時間かかるとのことでした。妻が検査を受けている間に「娘・息子」に電話連絡して取り合えず病院に来るように知らせ、混雑する病院で入院手続きをしました。どのような入院形態になるのか全く事情は分かりませんがとにかく沢山の書類にサインしました。
3時少し前に4階待合室でカテーテル検査の終了を待っていると代々木上原で勤めている娘が3時前に到着して合流しました。そして3時15分頃に検査を担当した若い女性医師がやってきて検査結果の話を伺うこととなりました。「脳室内に血液が出血している右脳室血管に小さな「溜」が見つかったのでここから出血したものと考えられる。出血した血液を取り出すとともに出血部位の縫合を行う手術が必要」とのこと。出血したままにしておくと「水頭症」になる恐れ高いということ、手術は頭蓋骨に直径2cm程の穴をあけ脳室まで脳に穴を開けて内視鏡を通して行うとのこと。しかし手術中に出血が酷くなったり様態が急変したような場合には医師の判断で開頭手術に切り替える場合があることなどを留意点を伺いました。娘とも相談し緊急手術していただくことにしました。手術には3時間程度かかり、その前に麻酔処置のために1時間程度かかるとのこと。4時少し前に手術室に向かう妻を娘と二人で見送りました。妻は意識があり私と娘を見つけて安心したようでした。
麻酔と手術で4時間程度掛かる見込みなので、再び4階集中治療室の待合室で待つことなりました。このころ息子も車で病院に駆けつけました。取り合えずこの待ち時間を利用して病院からそれほど遠くない妻の職場に行って経過報告やら救急搬送のお礼をしました。職場の先生の話は以下の通りでした。頭痛と吐き気が大変酷かったので直ぐに119番に通報した。救急車は驚くほど速く到着した。近くを通ていった救急車(多分虎ノ門病院からの帰り)が直ぐに駆けつけたようだとのことでした。虎ノ門病院は直ぐ近くなので119番に通報してから15分程度で病院に収容されたのではないか。その意味では大変幸運だったいえるのではないかと話していました。
病院に戻って妻の弟さんと私の弟に連絡しました。同じような脳の出血を経験している妻の弟さんも病院に駆けつけるということになりました。近くのファミマでお結び・サンドイッチを買ってきて待合室で夕食を取りました。私は昼食を食べるのを忘れていました。
8時前に手術を担当された医師の方がお見えになり手術の経過・結果について説明していただきました。最も順調に行っても最短4時間程度かかると知らされていいたので8時前に先生が来られたので少し驚きました。集中治療室のパソコンの前で妻の脳のCT画像を見ながら手術の経過・結果を聞きました。
妻のCT画像では「右・左(第一・第二)の脳室」の出血を示す白い部分は奇麗に取り払われ正常を示す「黒色」となっていました。第一脳室の血管の出血場所と思われる所は縫い合わせたとのことでした。手術は右脳室に近い脳に内視鏡を通す穴を開けて行われました。右脳室で起こった出血は第3脳室を経て「第2(左)脳室」に拡大するとともに、第3脳室から脊髄に向かう第4脳室に達していました。第3・第四脳室に及んだ出血は取れてはいません。しかし脳室の容積では左右側脳室(第一・第二)の容積が圧倒的大きくここの髄液に血液が多く含まれていることは大変危険な状態であったとのことでした。
第3・第4脳室は脳の奥深いため内視鏡で到達することは大変危険であるとのことでした。脳室を満たしている「髄液」は「第3脳室に流れ出し「左右の側脳室」・第四脳室を循環するものだそうです。第一脳室の出血がとまり、新たに作られる奇麗な髄液が循環しだすと、次第に脳室内に残った血液は薄められ正常に戻っていく仕組みになるようです。手術は順調に終了したようです。出血場所が違っていて探すことが出来ず出血を止められなかった場合には開頭手術に切り替える可能性もありました。
手術室から集中治療室に戻った妻は沢山の管が接続されていました。呼び変えるとウッスラと目を開けてこちらを認識するようでした。今晩容体が急変しなければ大丈夫だとのことでした。駆けつけた5人はこの日は一旦夫々の自宅に戻ることにしました。私と娘は息子夫婦の車で埼玉の家まで送ってもらいました。自宅に戻って娘に手伝ってもらって明日病院に持っていく物を準備してキャリーバックに詰めました。大変長い一日でした。
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