ゼロの視点
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2007年10月05日(金) 小唄

 父方の従姉ES嬢宅にて夕食に招かれたので、昼食をとらずにお腹を思いっきりすかせた状態で、彼女の家に参上っ♪。ES嬢の同居人であるH嬢の手料理が食べられるとなれば、ここまでしないではいられない、というのが本音。そのくらい今晩は期待していた私。

 実際にH嬢が用意してくれた料理は、どれもみな美味しく、その場で倒れそうになったほど。美食になれた父方のES一家だからこその味だなぁ・・・、と思いつつ、ひたすら食うべし、食うべし。和食の粋な味付けは、料亭もので、終始笑顔な私だった。

 さて、このES嬢のおかげで、近年《小唄》というものに触れるチャンスを得られた。日本へ里帰りするたびに、時間があれば、ES嬢が参加する小唄の発表会に足を運んでいる私。ま、自分でやろうとは思わないが、歌詞と照らし合わせながら、なんとも粋な小唄を生で聴く機会は、これからもできるかぎり大切にしていこうと思っている。

 そして、長年のクセかわからないが、この粋で艶っぽい小唄の台詞を聞きながら、フランス語でいかにこの感覚を伝えられるかを模索している自分がいるのに気づいて、思わず苦笑。職業病になりつつあるのか?、と。必ずしも直訳ではなく、とはいえ、瞬時にその感覚をいかにして伝えることが可能か?、というのが私が目指すところゆえ。

 こんなことを、たまたま酔っ払った上で、親友のMF嬢に話していた時のこと。私が《この感覚というのを、新鮮なままフランス語、もしくは日本語に訳して相手に伝えたいんだよねっ!!!!、そう、旬をそのままお伝えしたい、というか、さ・・・》と彼女に言ったところ、MF嬢が《あんたは、佐○急便か ?!?!》と、突っ込まれ、これまた苦笑い。

 それにしても、小唄の三味線の音などを聞いていると、妙に感動してくる自分を発見して、自分で自分に驚かざるをえない。昔は、こんなことがまったく琴線に触れなかったのに・・・、と。同じく、紅葉だとか、そういった自然の移り変わりにも、まったく興味がなかったのが以前の私なのだが、こんなことも当然熟知しているMF嬢は、私の変化をいちいち茶化してくる。ま、彼女の立場だったら、しょうがないか・・・・・。そのくらい、私が老けたのかなんだかしらないが、色々な感受性の変化が起こってしまったのだから。

 さて、先日あった従姉ES嬢の小唄の発表会は、日本橋三越劇場であったのだが、そこに出入りする人々を見ていても、普段はあまりお目にかかれないタイプの人が多いのに気づいて、これまた人間ウオッチングに燃える(笑)。

 どこの世界にも玄人がいるように、小唄の歌詞などに熟知した人がたまたま私の隣に座っていた。そして、各小唄を聴き終わるたびに、彼らの感想などを耳をダンボにしてスパイするのだが、これがまた非常に面白いからありがたい。プログラムを競馬新聞のほうに片手に持ち、それぞれの歌い手&三味線に赤鉛筆で採点しているほどの入れ込みよう。

 あとで、舞台にあがっていたES嬢にこのことを伝えると、《だから、困っちゃうのよ、こういう誤魔かせない人がいるから・・・》とのことだった。とはいえ、ES嬢の三味線はそれなりのレベルなので、N○K・FMで流れたりすることあるから侮れないのだが・・・・・。

 小唄を聴きながら、これから日本にやってくる夫、および友人のフランス人♂2名をつれてきたいと思ったが、果たしてこの《粋》なものを、彼らが理解できるのか?、と思うと、永遠に答えが出せないゼロでした。


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