ゼロの視点
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2004年02月10日(火) スケベジジイ

 2年ぶりにPの家へ、ランチに出かける。1998年5月にPと知り合い、なぜか彼が私を気に入ってくれ、その後1ヶ月ほど彼の家をホテル代わりに、住まわせてもらっていた。その時は、まだ私は旅行者という身分。

 ちなみに彼の家は16区の4階建ての一軒家。そのうちの3階部分を無料で私に貸してくれていた。キッチン、トイレ、シャワーも私用に独立していて、非常に快適だった。当時、4階に住んでいた、チェチェン出身の美女は、その後某有名デザイナーの愛人に収まり、現在はパリ市内の一等地に彼女のブティック(アクセサリー)までオープンさせている。

 で、この家に住みながら、パリの街をブラブラしているうちに、私は夫に出会ったのだった。

 Pの家に住んでいる間、そこに出入りするPの友人らともだんだん仲良くなっていった。しかし、その当時の私は、英語がやっとなんとか話せるレベルで、フランス語なんか、もう完全にアウト状態。非常にコミュニケーションに時間を要したものだった。

 さて、久しぶりにPの家に入ると、当時のことが色々と蘇ってくる。懐かしい。もう少しで6年前のことになろうとしているのに、だ。Pと昨今の話がはずみ、一通りランチを終えた後、Pが突然、当時の私を知っているPの2人の友人に電話をしてみよう、と提案してきた。

 Pの友人Tは、電話するとすぐに会社を抜け出してPの家にやってきてくれた。そして、もう一人のPの友人PSへ、Pが電話をかけはじめる。PがPSにかけた電話がつながる寸前に、Pのイタズラ心がムクムクと沸き起こってきたのか、私にPをちょっとからかってやれ、と言ってくる。よーし、ガッテンだ、とばかりに、即座にPをからかう体勢に入る私。

PS「もしもし」

私「あ、PSさんですか?。」

PS「そうです、あなたはどちら様ですか?」

私「私はアケミと申します。以前どこかでPSさんと出会ったのですが、その時PSさんは、私に電話番号をくださいました。」

PS「どこですか?。」

私「うーーん、どうしてもそれが思い出せないのです。でも、PSさんが非常に魅力的な紳士であったことだけは、はっきりと覚えております。じゃなかったら、たまたまみつけた電話番号を見て、恥を偲んでまでPSさんにお電話を差し上げたい・・・・、なんて思いませんわ」

PS「なんか思い出してきたような気がします、アケミさんとの出会いを・・」

私「そうですか、本当に嬉しいですわ・・・。でも、まだ私の顔を思い出されておいでではないのでしょ?。なんて、寂しいこと・・・・」

PS「いや、きっと美しい人だったと思います」


 実はこの会話、スピーカーフォンでやっている。ゆえに、しゃあしゃあとでっち上げを話し続ける私と、なんとかして、嘘でもなんでもいいから、コンタクトを未知の女性と取り続けようとするPSのやり取りに、PとTは声を抑えながら、腹を抱えて笑っている。


私「思い出していただけないのは、非常に残念ですけれど・・・・」

PS「いやあ、是非もう一度アケミさんにお会いしたいものだ。アケミさん、お時間があったら、カフェかどこかで再会できませんかね?。」

私「まあ、素敵。もう一度、PSさんのお姿を拝めるのでしたらっ!!」


 ここまでやってきて、とうとう私もPとTの笑いにつられてしまってアウト。急いで受話器をPに渡して、あとは、彼に説明してもらった。PSは狐につままれたようだったが、とはいえ、最後には、あの当時のゼロが今じゃフランス語でこうやって人をかつぐまでに成長したことを喜んでくれた。

 それにしても、スケベジジイの心理というものをあらためて知ったような気がして、妙におもしろかった。


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