ゼロの視点
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2004年02月01日(日)

 昼下がりに、夫の友人Eがやってきた。ここ最近、彼がひどく鬱気味で、ヤバイらしい、という噂はあちこちから聞いていたこともあり、本人がわしらと一緒にランチしたい、というのであれば、どうぞ、どうぞ、という感じにすぐ話はまとまった。

 Eは42歳。3年前に躁鬱病が激しく悪化した妻と、とうとう離婚成立。その後は現在13歳の娘をオトコデひとつで育てている。某大企業の幹部として将来が確約されているはずだったが、最近、リストラ問題がにわかに出てきいる状態。

 こんな彼は、昨年の春にひとりの女性に出会った。39歳の未亡人、A。Aは、7年前に最愛の夫(彼女より20歳年上)を癌で失い、夫との間にできた一粒種の息子(現在15歳)をオンナデひとつで育てている。

 非常に魅力的なAに、どんどん惹かれていったE。そんな二人は昨年の夏には一緒に旅行へ出て、それなりに楽しんでいたようだった。

 が・・・・・。

 Aからの告白だと、Eといてもあまりおもしろくない、ということ。このことは、随分前から彼女自身から聞いていた私たち。その一方でEは、自分がAに惚れまくっているということを、認めようとしない。そんな状況の中、私たちは“きっとEは、前の結婚でそうとう傷ついたから、そんなに早く特定の彼女を見つけたくないのだろう”とタカをくくって、様子を見ていた。

 Eは、とても礼儀正しい。時には、やりすぎじゃないのか?、というほど礼儀正しい。ごり押しを絶対しないタイプと言える。でも逆にいえば、絶対に自分からイニシアティブを取らないタイプともいえる。そんなあまりにも慎重は彼との時間が、どんどん退屈になっていくA。

 近頃では、Aは、たとえ鬼畜でも、もうちょっと自分というものを持ったオトコのほうがいい・・・・、と言い出してきていた。なんだか雲行きが怪しくなってきたな・・・・・、と思っていたら、年明け早々、AがEに“お別れしましょう”と宣告したとのこと。

 その後は、Eは夫に頻繁に電話して、夫からのみEの状況を聞いていた私だったが、本日、ひさしぶりに我が家にやってきたEの顔をみて、私はひきつってしまった・・・・。

 ここまで絶望して鬱になっている人間の顔、というものを見たのははじめてかもしれない?!?!?!、と思わせるほど、スゴイ形相だったからだ。本来ならば、確実にハンサムと呼ばれる部類に入ると思われるEだが、目は落ち込み、精気はまったくなく、頬はくぼみ、時々見せる笑顔は、異様にひきつっている・・・。

 仕事でも問題が多発し、Aに別れを宣告され、思春期に入りだした娘は、別れた妻との関係からの影響で、非常に精神的に不安定・・・・。

 とにかく、自分の感情を出さないことに慣れきってしまっているE。そんな彼と一緒にランチしているうちに、彼の中で吐き出しきれない怒りがマグマのように渦巻いているんだろうな・・・・、と思えてきた。そして、その怒りがついには、自分の身体を完全に蝕み始め、それをただ自暴自棄になって放置しているような感じ・・・・。

 ゾォっとした。

 残念ながら、私たちは彼を救うことはできない。彼自身しか彼を救うことはできない。そんな彼が一緒に食事したいといえば、時間があればウイということだけ。もどかしいし、彼に元気になってもらいたいが、元気になれと言うこと事態が、非常におこがましいことでもある。

 彼が自分の幸せに向かって歩き出すことを願うのみだ。

 


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