長渕剛 桜島ライブに行こう!



時代に目を伏せましたか? (桜島ライブ45)

2004年10月19日(火)

『時代に目を伏せましたか?』−桜島ライブ(45)

                 text  桜島”オール”内藤





南日本新聞には検証記事まで掲載されていました。
課題とされた、騒音対策と、案内の徹底。
この検証結果と反省を活かすチャンスは再び訪れるのか・・・?


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M-32 マリア

  −アルバム『 時代は僕らに雨を降らしてる』(1982)−




第1部がざっと2時間半、
そして、第2部が2時間続いていました。
時間はまもなく午前4時・・・

ライブの終了時間は6時くらいでしょうか。
そうだとすると、もう休憩はないかもしれない。
このまま最後まで行くのだろう・・・

やや、僕はあせっていたかもしれません。
正直、もう、休憩はいらない、と思いました。
まだまだ聴きたい曲がたくさんあったからです。
2時間では、とても足りないのです。

『乾杯』が拍手に包まれながら幕を降ろし、
やがてその拍手の潮が引いて行く中、剛が呼びかける。

「疲れてないかあーっ?」

正直、疲れてはいました。
しかし、まだまだへたり込むにはほど遠い。
歌から刺激をもらって、
活力に溢れる僕の体。
なんとも頼もしい限り。

信じられないことですが、
あれだけ歌っているのに、叫んでいるのに、
まったく声が枯れていない。
腕に鈍痛はあるものの、
あれだけ振り上げているにも関わらず、
僕の両腕には力がみなぎっている。
ギュッと拳を握り締めてみると、
よしっ、握力も十分・・・。

さあ、悔いのないように、
この体力も気力も、すべて、
残らず使い切ってしまおう。
大きく深呼吸をして身構える僕。


Woo Woo Woo・・・


まるで、僕の気負いをすかすような、
剛の声と、コーラスの声が形作る美しいハーモニー。
この、イントロは・・・

異色作、『マリア』!

思えば、第2部は、
ZEPPでの前夜祭で披露されなかった歌で占められていました。
その中で、この『マリア』だけは別でした。
『マリア』が歌われたのは、ZEPP2日目のアンコールラストでした。


Wow マリア
深い眠りから覚めた
Wow マリア
幾千もの悲しみを 越えて

地上に降り立ち 僕らを見た
胸の十字架 見つめられない 
僕らの時代に 目を伏せた
愛しすぎた 傷付けすぎた
数え切れない 歴史の中で



僕は、この曲の成り立ちについては何も知りませんが、
剛の曲の中では、明らかに異彩を放つ曲です。
剛の匂いを感じる言葉がほとんど見つからない。
唯一、「僕らの時代に目を伏せた」という言葉が、
それらしいと言えば、それらしいと思えるくらい。

剛の曲らしからぬ清々しさと、泥臭さのなさ・・・
しかし、間違いなく、剛の作詞・作曲の楽曲。
なんなんでしょうか、この、
洗練されたシンプルな詩と、澄んだメロディは。
この曲を作ったとき、剛に何があったのでしょう。
なんとも不思議な作品、『マリア』。


Wow マリア
深い眠りから覚めた
Wow マリア
幾千もの悲しみを 越えて

ララララ・・・
ララララ・・・



桜島で演奏された曲の中で、
ひときわ短い演奏時間。
聴きほれているうちに、
あっという間に終わってしまいました。

様々な思いと、感動で、
乱れた僕の神経を、
脈拍を、めくるめく思いを、
やさしく、静めるように、『マリア』は歌われました。
歌に身を洗われるような気分になったのは、
あれが初めてだったのかもしれません。

すっかり僕は、油断していました。
『マリア』の醸し出すムードに夢うつつでした。

「あっ」

僕は思わず、声を漏らしました。

何ひとつ、言い残すことなく、
剛は消えるようにステージを去って行ったのです。
まるで、『マリア』の余韻をそのまま残すかのように・・・

そうです、午前4時を目前にして、

第2部は、唐突に、
その幕を降ろしました。


あと、1時間半ほどで、
桜島の空は、白々と明けて行くはずなのです。
ここで、まさか、休憩に入るとは・・・

剛が去って行ったあと、
ツヨシコールが叫ばれていました。
僕も、我にかえって叫びました。
なぜだか、猛烈な不安に襲われていました。

いよいよ、終わりが近づいてきているのです。
次に剛が戻ってきたとき、
いったい何曲が演奏されるのだろうか。
まだ、『桜島』が演奏されていませんでした。
『STAY DREAM』も、『何の矛盾もない』も・・・
そして、あの曲は、果たしてあるのか・・・

やり場のない、みなぎる力と気負いをぶつけるように、
僕はツヨシコールを叫びました。

クライマックスを目前とした桜島ライブに向けて、
アンコールを叫ぶように・・・




続く



<次回予告>
信じられない・・・クライマックスを静かに待つ桜島の、
ファン垂涎の特等席とも言える、A−5ブロックから、
荷物を片付け、引き上げて行く観客たちの姿が・・・。

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