長渕剛 桜島ライブに行こう!



この歌の良さがわかりますか? (桜島ライブ20)

2004年09月16日(木)

『この歌の良さがわかりますか?』−桜島ライブ(20)

                 text  桜島”オール”内藤





剛ミネラルウォーターは、24本入りの箱でも発売。4800円。
一本200円は、かなりぜいたくなミネラルウォーター。


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M-9 夏祭り −アルバム『長渕剛LIVE』(1981)−



剛が、次の曲のコードのポジションの音を出して、
準備をしていると、
にわかに沸き起こる歓声。
僕にもバッチリわかりました。

「ちょっとポジション確かめただけで
 次の曲が何だかわかったの?
 間違えるとまずいからな。
 よく間違うんだよ、最近。
 まあ・・・夏だし・・・」


このヒントで、たいていのファンも気付いたらしく、
さらに歓声が飛んでいました。

「昔の歌、歌うのはね、
 恥ずかしいっていうのもあんのよ。
 だからさあ、
 みんなで一緒に歌おうな!
 ギター小僧はみんな、
 こぞってこの曲を勉強したはず。
 これが本家本元、
 スリーフィンガーじゃい!」


と、本人が腕前を豪語するだけあって、
心地よい、完璧なリズムのイントロ、ギターソロ。
おー、今日も調子いいなあ・・・
と思ったのもつかのま、突然、爪弾くのをやめた剛。

まさか、間違ったのか?
いや、そんなはずは・・・

「な〜んで、こんなにうまいの、俺?」

と、自分で自分のテクに感動してのストップでした。

カリスマなのか、近所の兄ちゃんなのか、
よくわからなくなってきましたが、
とにかく、剛の絶妙なリードのおかげで、
桜島にはハッピーな空気が満ち満ちている。

「剛、うまーい!」

「うまい!うまい!天才!」

観客から沸き起こる笑いと歓声に剛も応える。

「ゴメン!うまくてゴメン!」

まだまだ序盤戦のオールナイトライブ、
これから先、ひと波乱も、ふた波乱もあるに違いない。
弾き語りコーナーの、ひとときの安らぎ・・・。

ふたたび演奏をはじめて、
叙情たっぷりに

季節もピッタリ!『夏祭り』!

剛のスリーフィンガーに合わせて、
みんなも僕も歌いました。
夏の終わりのはかなさを感じさせるこの『夏祭り』。
同じ祭でも、過酷なオールナイトライブとは全然違う、
ちょっぴり切ない夏祭りの風景を切り取った曲。
きっと、7万5千人の剛ファンも大好きな曲のはず。

僕は『夏祭り』を聴く時、
いつも一瞬思い出す出来事があります。
桜島で『夏祭り』を聴いた時も、
僕は、何年も前のその出来事を思い出していました。

当時、僕の生活に大きな変化がありました。
住むところから、なにから、全部というくらい、
大きく変わった時期でした。
新しい友人がたくさんできていました。
その中のひとりだった大学生の女の子と、
僕は好きな音楽の話をしたことがありました。

僕は長渕剛が好きだ、という話をしました。
彼女は、剛の名前は知っていましたが、
歌はまったく知りませんでした。
その次に会った時、

「聴けば、僕がどうして、
 剛を好きなのか、すぐわかるよ」


そう言って、僕は、
ベストアルバム『いつかの少年』を、
彼女に貸してあげました。

アルバム『いつかの少年』の一曲目は、
『夏祭り』でした。
この、『夏祭り』から始まるというのが、
初心者の、それも女の子であるということを考えたとき、
ベストの選択に僕には思えたのです。

初めて聴く若い女の子なら、
きっと『くそったれの人生』や、『いのち』や、
『JAPAN』では重過ぎる、と思いました。
『夏祭り』なら、きっと、
無理なくすっと入ってこれる。
そう思いました。

それから数日後に、彼女に会ったときに、
僕は聞きました。

「アルバム、聴いた?
 ねえ、どうだった?」

彼女が言ったことはまったく予想外でした。

「ゴメン。最初の曲聴いたら、
 ああ、これ、つらいなあって思って、
 聴くのやめちゃったの。」


愕然としました。
まったく、彼女には『夏祭り』の世界はNGだった。

普段、彼女はBGMのような曲しか聴いていない。
ほとんど洋楽の、ヒットチャート物。
早口の英語で、何を歌っているのかわからないもの。
あとは、日本の若いバンドのピコピコした音楽。
歌の内容はまるで問題にならないもの。
それが、彼女にとっての音楽でした。

彼女には、剛の良さはまったく理解されなかった。
僕がいいと思ったからといって、
他人がそうとは限らない。
それは当然のことですが、
やっぱりちょっとショックでした。

桜島には、こころなしか、
普段のライブよりも女性の割合が多かったように思います。
僕のいたブロックにも、たくさんいました。

『夏祭り』を歌い、
『勇次』で拳を振り上げ、
『何の矛盾もない』に涙を流していました。

鹿児島、桜島の、
過酷なオールナイトライブにやってきた、
行動力も勇気もある女たち。
志穂美悦子のような、強くて優しい女たち。

僕は好きだね!

剛の歌で涙を流す女の方が。
この歌の良さがわかる女の方が。


いつまで こうして きみと
寄り添い 肩を並べて
来年の夏も 
せんこう花火 できるといいのにね
燃えて散るのが 恋ならば
このまま 消えずに
輝いてくれ・・・



剛、今は、ちょっとだけ、
古い歌が聴きたい気がします・・・


続く


<次回予告>
古き良き日の、弾き語り4部作、完結。
失われた昭和の恋愛風景を弾き語る剛。
そして、ライブはふたたびセンターステージへ。

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