2004年09月03日(金)
『居場所はありましたか?』−桜島ライブ(9) text 桜島”オール”内藤
ピンぼけの写真ですが、 割りとゆったり一人あたりが座っているのがわかるでしょうか。 確かに詰めればもっと詰めれそうですが、 どうやら入れない人が出たのには、別の理由があるようでした。
★長渕剛 桜島ライブに行こう!バックナンバー ←クリック
=====================================================
売店スペースからやっとのことで会場に戻り、 Eブロックから、Dブロックへ、 そして、Cブロックを抜けてBブロックへ・・・ まだまだ斜面を下ります。 ついに我らがA-5ブロックにやってきました。
すると、ブロックの入り口と思われるところから、 人の列が伸びているように見えました。 列のようにも見えますし、 通路で立っているだけにも見えました。
係員がバンドをチェックしているのかな・・・ と思って、列の前の方に行ってみたのですが、 どうも、そういう係員らしき人は見当たらない。
「このブロックの人ですか?」
と、並んでいるように見えた人に聞いてみると、
「ええ・・・入れないんですよ」
入れない!?
そう聞いて、もう一度ブロックの入り口のところに目をやると、 まさにその入り口に立っている人が、 キョロキョロとブロック内を見渡しては、 なんとも困ったような表情をしていました。
僕もブロック内に目をやると・・・ 人で、いや、正確にはビニールシートが目に入るかぎり、 びっしりと敷き詰められていて、 土が見えているところはほとんどなく、 ましてや僕ら2人が座り込めそうなところは、 まったく見当たりませんでした。 大きなビニールシートが敷いてあったわけではなく、 それぞれが持ち寄ったシートがこまめに敷き詰められ、 空きスペースがない、という状態です。
もう開演時間が迫っているというのに、 あたりにはブロックに入らずに通路に立っていたり、 座っていたりする人がたくさんいました。 この人たちは・・・? まさか、全員、入れない人では!?
まったく・・・ 一難去って、また一難。 ようやく会場に、僕らのブロックにたどり着き、 ホッとしたのもつかの間、
まさか、そのブロックに入れないとは!
あせった。またしてもあせりました。 あせっても、入れないものは入れない。 時間だけが過ぎていき、 とうとう開演時間に・・・。
ステージ付近ではスタッフが開演準備に入りました。 通常、この動きがあると、すぐ、開演となります。 察するに、ほぼ定時開演を予定していたようでした。
しかし、どうやら、 ブロックに入れない問題は、 僕らのブロックだけの問題ではなく、 前方ブロックのどこでも起きていた問題のようでした。
女性のアナウンスが、 満員の桜島ライブ会場に響き渡りました。
「まだブロックに入れないお客様がいらっしゃいます。 申しわけありませんが、少しづつ前の方に詰めて、 入れないお客様を入れていただけないでしょうか?」
既に開演時間を過ぎていました。 おそらく、同じように入れなくて困っている人たちが、 係員をつかまえて、なんとかしてくれ! とクレームしていたのでしょう。
しばらくして、ふたたびアナウンスが繰り返されました。 ライブが始められません、と言っていました。
ブロックに入れないのも困るが、 ライブが始められないのも困る。 おそらくスタンバイしていた剛のテンションも下がるはず。 もう、無理は承知でブロックに入るしかありません。
ブロックの入り口近くにスペースは見当たらないので、 フェンスに沿って移動しながら、 空いているスペースを探しました。 土の見えているところはありませんが、 広くシートを広げている人はいました。
「ここ、入れてもらえませんか?」
そう、フェンス越しに、 そのシートの持ち主の男性に声をかけると、
「シートに座ってくれていいから、入って!」
と言ってくれました。 よし!ありがたい! 僕らはフェンスを乗り越えて、 そのスペースまで人を乗り越え、荷物を乗り越え、
ようやくA−5ブロック入り!
もう、9時はとっくに回っていました。 それでも、放送では再三、 詰めてください! と呼びかけていました。
先ほどまで僕らがいた通路に目をやると、 まだまだたくさんの人が立ったり座ったりしていました。 ほんとにこんなに入れない人がいるのか・・・?
ブロック内に目をやると、 各自あぐらをかいて座れるほどのスペースですが、 びっしりと人が入っていて、 オールナイトライブであることを考えると、 おそらくこれくらいの密度で人が入ることを 想定しているはずだと思いました。 つまりは、だいたいこんなものだろうと思われる数の人が、 きちんとブロックに入っているように見えたのです。 それにも関わらず、通路に人があふれている・・・ なんとも不可解でした。
場所を確保して、やや冷静になり、 いくつかの原因と思われることに気がつきました。
まず、違う色のバンドをしている人が、 周囲に何人か紛れ込んでいることに気がつきました。
今回、ブロックごとに違う色のリストバンドを付けています。 だから、Aブロック内では、 全員が僕と同じ色のバンドをつけているはずなのです。 ということは、違う色のバンドをしているということは、 後ろのブロックの人がAブロックに入っていることを意味します。
思えば、ブロックへの入り口には係員はいませんでした。 ブロックへの入り口で、 リストバンドのチェックはまったく行われていなかったのです。 第一、僕らだって、フェンスを乗り越えて、 誰にもチェックされることなく、 このブロックに入っているのですから。 (正しいブロックに入っているわけですが・・・) つまり、自分のブロックで見る、ということは、 事実上、観客のモラルに任されていたのです。
かなりムチャな・・・ これでは、かなりの数がA・Bブロックにもぐり込んでいるはず。
そりゃあ、決まりを守る人の方が多いと思うけど、 守らない人なんて、いくらでもいるよ。 オークションで10万円出してでも前で見たいと思っている人が、 たくさんいるくらいなんだから。 多少の無理をしてでも前で見ようという人なんて、 それこそ、いくらでもいるはず。
そんなことを考えながら、悶々とした思いにかられていると、 通路の方で、
「ここ通路なんだから、自分のブロックにいけよ!」
という声が聞こえました。 その声の方に目をやると、どうやら、 BブロックとAブロックの間の通路にいる人たちに向けて、 Bブロックの前の方の人が放った声でした。
そのあたりの、通路に座っている人たちは、
ものすごく落ちついていました。
ブロックに入れなくて困っていた、 さっきまでの僕たちのようなあせりはまったくなく、 おそらくは自分たちに向けて放たれたであろう言葉に、 まったく反応を示すことなく、 ただただ動く気配もなく、じっと座っているのです。
どうやら、彼らも後ろのブロックのバンドをしているのでしょう。 完全に居直っているように感じました。 桜島ライブに来ている人にしては、あまり似つかわしくない、 死んだ魚のような目をしていました。
考えて見れば、 ここにいる人たちに共通しているのは、 剛ファンだということだけで、 あとは一般社会となんら変わりはないのです。
特別、ルールを守る人が多いわけではないし、 特別、他人に気を使う人がいるわけでもない。 世の中と同じパーセンテージで泥棒もいるだろうし、 同じパーセンテージで、いい人も悪い人もいるだろう。
それを考えると、少なくとも前方ブロックでは、 ゲートでのリストバンドチェックは必須だったのでは? 通路から離れない人は、 きちんと自分のブロックに戻ってもらうべきだったのでは?
それはそう思うんだけど、 そういう制御の利かない、まるで社会の縮図のような、 桜島ライブAブロック。 けして快適ではない。 けして気持ちのいいことばかりじゃない。 それもこれも全部飲み込んでの異次元空間、桜島。
ただじゃすまないと覚悟してきたはず。 ここで、しっかりと朝まで頑張らなくては・・・
そうこうしているうちに、 開演予定時間から30分近くが過ぎ、 とても全員がブロックに入りきれたとは思えませんが、 そう、いつまでも開演を遅らせるわけにはいきません。
あせりも、興奮も、緊張も、たくらみも、ズルさも、 すべてが混在する7万5千人の人間のるつぼ。 幕開け前からきしみを上げるイベント進行。 混乱の中、午後9時30分、 あの男がいよいよ姿を見せる。
長渕剛 桜島オールナイトライブ、 いよいよ開演!
続く
<次回予告> でっかい花火が打ちあがる・・・ 上がっても上がっても、まだ上がる。 10分近い納涼桜島花火大会、 桜島を疾走するハーレーのビデオ、 そして、剛、Kブロック後方より現る!
★次の日記 ←クリック
|
|
|