伊坂 幸太郎 角川文庫 2007/06
読書の愉しみ・悦楽をあじわわせてくれた。
短編なのですが、最初は結末というかそれぞれのエンディングに物足りなさを感じたのですが 読み進むにつれて、そんなことはどうでもよくて、とにかく読むのが楽しい文です。
そして、最終話に辿り着いて、ますます満足。 ああこの人はあの!と思う人が出てくるのです。 この「死神の精度」もそうでした。 やはり伊坂さんの本は全部読まなくてはなりませんね〜
死神が出てくるので、当然、人が死ぬし、理不尽だったり 楽しくない人も沢山出てくるのですが、でもそれを差っぴいても楽しい。 死神の人物造形も最初は、ん〜ん〜?と思っていたのですがだんだん癖になってくる。 死神だからこその個性というか、人間とは違うもの、ということが表現されている部分。 人間との全くかみ合わない会話とかもいいのです。
死神は人間の感情や事情には頓着しません。 でも時々、優しさ?と錯覚させる何かがいいのです。 最終話では眠った老女をベッドまで運ぶところとか 私はそれだけで、こみ上げてくる何ががありました。
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伊坂さんの文章・小説は癖になる。
読んでてこんなにワクワク、嬉しくなる文章(話の内容だけでない) は初めてかもしれません。
このワクワク感とは違って、文章の気持ちよさに浸ったというのなら 須賀敦子さん以来かもしれません。 比べているのではなく、私の中で文章を読む愉しみを理解したのは この2人ってことです。
もちろん私の読書量なんてたいしてことないので 巻末の沼野充義さんの解説を読んで、本当の読書家ならではの 「読み」がわかって、やはり伊坂幸太郎さんてすばらしいんだわ!! となるのです。巻末の解説まですばらしかった。
楽しいお話、ワクワクする内容は沢山あるけど ただ文章を読んで楽しいってのは私にとってはなかなか無いのです。
至福の時間でした。
これは金城武で映画化 されて、公開間近。
ちょっと見たいな〜
初めて公式見たけど、すごくいい雰囲気です。
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死神の精度
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