2008年01月17日(木) |
「反射で生きる不幸と言行不一致の不幸な世の中」 |
ダ・ヴィンチ2月号から
岡野宏文さんと豊崎由美さんの「先生、ここがわかりません!」 「論理と情報」について、教科書で教材として使われている文章について 取り上げているのですが、相変わらず、褒めたり、けなしたりのバランスがいい。 ここでも「三丁目の夕日」が引き合いに出されている。 「昔が美しく書かれすぎている。」 「幻想、日本人に礼儀正しいとかたしなみがあったとか」
この映画だけでなく、「品格」がもてはやされる時代と 知識人たちが、こぞって古き良き時代の日本を思い出させようとしているのですが (いや思い出させようとしているのはメディアであって、当人は違うかもしれませんが) 現代の日本人は旅行者の印象でもトップクラスで評判いいみたいですので 十分、品格があるんじゃないでしょうか。 そして数十年前の日本人旅行者と同じ様子を中国人旅行者がしているとも聞いた。 日本人はたしなみとか礼儀とか、本当はどうなんだろう。 悪い人は悪いし、良い人は良い。差がはっきりと分かれてきているのかもしれない。 電車の中で化粧する若い女性もいるけど、しない女性もいるわけですしね。 外国と比較して、行儀が悪いとかそういうのは比較自体が難しい気もします。
2つ目に取り上げている池田晶子さんの「言葉の力」についてべた褒めなのですが 私も読んでみたいと思いました。でも教科書内なのよね。 「言葉と自分が一致してない人生は不幸だ」という言葉。 不幸な人というのは、自分が信じられない人生を送っているということを書いているのですが すごく納得します。ウソで塗り固められた人生って、辻褄あわせが大変だから気が休まらない感じがしますしね。 何が楽しいのかすらわからなくなってしまいそうだから。
たった2ページのコーナーですが、いろいろ考えるきっかけになります。
続いて「オン・ザ・ブリッジ」宮台真司さんのコーナー (いつもは結構、難しいのでスルーしていたりする) 今回は「親友」という「わぁ恥ずかしくて、難しい言葉だわ」と思う単語から始まっている。
友達とか親友とか、それがどういうものなのか、時代でも変わるんだろうけど人によっても違うよね。 でも、宮台さんが言う昔の「何でも打ち明けられる相手」と今の「最大限気を使わなければならない相手」というのはわかりやすいかな。
近しい人に何でも話せる時代は終わったこと、遠い人がその存在と打って変わった流れとか、わかりやすい。 援助交際の世代交代とか、ナンパ師のテクニック「そんなのは本当の愛とはいえない」というキメセリフとかありそうで、恐ろしい。 そんなのに引っかからないでよ!といいたいけど、そういう事をしてまでナンパしたい男がいるんだな〜 そういう世の中で、そんな男とであって、不幸にならないようにするためには何が必要なんだろ。 全員じゃないにしても、少し前に私がひっかかっていた事件「妻子持ちの10歳以上年上の男性と「恋愛」だと言ってつきあってしまう10代の子」を思い出させることもかいてあった。
言葉とか物質ではない、満足できる人間関係というものが幼い頃から築かれていたら、まず大丈夫だと思うのですが 現代ではそれが本当に難しいのかもしれない。 なにせ、言葉と自分が一致してない不幸な大人たちが運営している世界なのだから。
このコーナーでも「三丁目の夕日」が取り上げられ、「恋空」では「死にオチ」「近い人より、遠い人」 さらに脊髄反射について書かれている。
忙しすぎるし、情報もどんどん出てくる世の中では、脊髄反射に訴える物語でないと、飲み込めないのかもしれないな〜 考える隙も与えない、くらいのスピードでね。見たものをまんま、信じちゃうような。
どちらの映画も見たこと無いし、見たいとも思えないのですが、多分、見たらそれなりに見ると思います。 単なる娯楽映画として、何も暗い気持になったりせずに見たいものです。
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