昭和もまだ前半の頃のことです。 祖父が電車の中で吐血して倒れて病院へ運ばれたというのです。 ちなみに電車は本来停車の予定はない駅に止まっての搬送だったそうです。
祖父とその家族は名古屋在住で、祖父は何かの用事で長野県にいたのですが、 何故か大阪に勤務していたが私の父が一番に祖父の運ばれた病院へ着いたのでした 。
そしていきなり手術をするから見て置くようにと医師から宣言されたそうです。 断る余地はありません。 今は知りませんが、電車の中でこんな風に倒れた場合など、事件性があるかもしれないからか、 手術には家族が立ち会う決まりだったそうです。
一刻も争う状況だったので、さっさと手術は開始。 「切りますよ」と合図で、医師は祖父の腹を開きました。 「これですよ。」と祖父の胃を取り出してみせてくれます。 胃潰瘍だったそうです。悪いところを切除して、縫合すると手術は終わり。 医師は「大丈夫、この患者は10年は生きますよ」ときっぱりと言われたそうです。 医師の予言どおりか、予言以上に祖父は長生きして、90余命まで長生きしましたとさ。
今思えば、あの医師は名医だったのだろうな〜と父はいいます。
それにしても、父の度胸にも驚きます。 「仕方ない」といいますが、後から着いた叔母はさすがにフラついたそうです。
私は、なるべくそんな目に遭いたくないので、家族には是非、電車などで倒れないように願いたいと思いました。
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