2007年09月21日(金) |
本「次郎と正子」娘が語る素顔の白洲家 |
牧山 桂子 (著) 2007年 新潮社
異世界の暮らしぶりが描かれているのだろうし、あまり期待しないでおこうと思ったら、面白かった。
特に白洲家の人々に思い入れもない。次郎さんは皆がよく話題にするイメージでしかなく、 正子さんの方は骨董と文章を書く人という認識はあったけど、その程度 2人とも、何年かおきに必ず雑誌や本などで取り上げられる人だな〜という認識(すみません)でありながらです。
個性の強い両親を見つめる娘のまなざしが淡々と面白い。 時々、我に返って、親からの影響を自覚する部分も。 魅力的な人物、と思うのは他人だから思うこととは知りつつ、とても面白い。
でも娘から見る不思議な夫婦の関係というのは、きっとどこの家でもあるのでしょうレベルが違っても。 私も結構、個性的な両親から生まれた娘として少しだけわかることもあるな〜切ない。
そして著者の桂子さんの聡明さにときめきます。 両親の知人たちと同席しない理由。自分の子どもにもそうしている理由など、 こういう方だから、強烈な個性の両親の間でも平穏無事で幸福に暮らせるのだと思います。 そしてお母さんに対する切り替えしの数々もお見事です。
今話題の総理の椅子を争っている人のお祖父さんの名前も出てきたり(これが素敵なエピソードです) 外国や外国人が出てくる話も素敵で、子どもの頃読んだ教養小説のようです。 ロンドンで滞在したお話なんて、とくに。
巻末の両親の教育とか影響については、割と頻繁に親と子どもの関わりや成長とはどういうものなのか 考える機会があるので、そして私もそう感じていることなので、わかりやすいです。
丹精こめて、教育したからといって、思い通りに育たないとはわかってきました。 やはり人はなるようにしかならないのでしょうね。 そして、著者が書いているように愛してさえいれば子どもは問題ないとも。
英語を巧みに操る次郎さんの、留学の相談に来た人への回答が興味深い。 熱心に英才教育している方も頭に入れておいたらいいかもしれない。
次郎と正子―娘が語る素顔の白洲家
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