2007年08月26日(日) |
岩波文庫「レ・ミゼラブル」1巻 |
中断に中断を重ね、やっとこさ読み終えた。 ミュージカルには間に合わなかったけど、5分の4は読み終えていたので 間に合った部分もありまして、 より舞台を楽しむことになりました。
この大作をあの舞台はよくまとめているな〜と思いました。 ほとんどダイジェスト版みたいなんだけどね。
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1巻には私の大好きなシーンがいくつかあります。 バルジャンが銀食器を盗み、それを司祭様に許されるシーンです。 舞台でも、初めてみたときから泣けて泣けて・・ここで泣く人はあまりいないみたいで恥ずかしいのですが。
原作では、そこに至るまでのバルジャンの人間性と世間の風当たりの強さとかが詳しく書かれていて さらに、司祭と別れてからも罪を犯す場面もあります。 簡単に罪をおかしたわけではないし、改心したわけでもない。 そんなことが分かる場面です。
そしてマドレーヌ市長となってから、自分の代わりにバルジャンとして処刑される人物が現れ、それを救いに行く場面があるのですが すごく悩んでいるバルジャンが描かれているのです。 もうすごくいらいらするくらい、揺れ動いているのです。 読みながら「さっさと行け!」と蹴飛ばしたくなるくらいです。 散々、理由をつけたりこじつけたりして、行かないで済む算段を考えるんだけど結局名乗り出るのです。
舞台でははしょってるから簡単に名乗っているように見えるけど(名乗っても地獄、名乗らないでも地獄みたいに歌ってるけど)バルジャンがちょっと人間離れしているようになっているのですが 原作では、ここまで悩みぬいている。 まさしく彼は普通の人間なのです。 いえ、どちらかといえば、過ちを犯しやすい弱い人間だったのです。
私は原作と舞台のあわせ技で、とても良いものを見せてもらったと思いました。
神様が本当にいるとしたら、もしいなくても、自分の生き方を決めるのに これほどの手本はないのではないかと思います。
人生にはいくつもの苦難が起きます。 その人それぞれに、乗り越えられる困難が訪れるといいます。 自分がどうするべきか、考えてもわからない、 楽をしたくて、でもそれでいいのか、何度でも悩むと思います。
それは本当に、当たり前のことなのかもしれないと思えました。 悩まぬ者は死者だけだというのですから。
どうしてこんな目に、とわが身と運命を呪うこともあるけど くじけずに、自分の心を裏切らない決断を下していくことに意義があるのだと思えました。
この作品は本当の名作なんだなと分かりました。
もうすぐ不惑です。 もう15年前くらいに、周囲の友人がこのミュージカルを見てました。 原作ももちろんありました。 でも、全く見る気、読む気が起きませんでした。 子どもの頃のアニメとか児童書で、子どもや女性がひどい目に合うとわかっていたから、辛くなると思っていたのです。
でも、今の私はそうは思いません。 この時にこの本に、舞台を知ることが出来て本当によかったと思います。
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