2007年07月15日(日) |
本「大地の咆哮 元上海総領事が見た中国」 |
杉本信行 PHP 2006年
中国といえば、今は食品の問題をすぐに連想してしまう。 今までも、公害、著作権、反日問題といいニュースは1つもない。 中国が発展してきたとき、まっさきに不安に思ったのが環境問題だった。 とてつもない数の人間がいる国で、経済活動が盛んになれば、日本が通りすぎてきたように公害問題が出てくるだろうし、それは中国だけでは止まらないと思った。 だって砂がとんできてしまうくらいなんだから。空気も水も無関係ではいられないと思ったからだ。 そしてそれは現実のものとなっている・・らしい。
そんなニュースを聞いて漠然と困ったな〜と思ってるだけでなく、 もっと詳しい事情がわかる本はないかな、と思ったときに出会った。 長い時間かけて、ポツポツ読んでいたので、最初のほうとか見ながらコレを書いてます。
読んで改めて絶望的になったのは、中国のほとんどの民衆も大変な目に合わされているんだということ。 ニュースでも新聞でもわかっていたけど、なんじゃその格差は??といたくなるくらい、都市部の富裕層とそうでない人の差がおかしい。 お金を持ってる人はもっと持てるように、どんどん得するようになってる。 権力をもつ人はどこまでもそれを有効につかって、暴利をむさぼる。 日本もあるけど、なんだかもうルールって何?という状態。 日本も今は中国化している、というか隠されていたことが暴かれているだけで、昔からそうなのかもしれないけど。 大臣やミートホープ、厚生年金問題、似た系列です。
そのほかにも、教育問題、水不足(中国がそんなに水がない国だったとは!!)、宗教問題、高層ビルの問題も怖い。 やはり持たざるものがいつでもどこでも、とことん苦労しますよ。 自分の国の人のことも、全くどうでもよさそうな国なんだから 他国の人間がどうなろうとしったこっちゃないだろうと思われる。
今週の「ニューズウィーク」にも記事がありました。「食品汚染 食の無法地帯中国の新たな闇」 http://nwj-web.jp/ しかし、この記事の中に出てきた料理店のメニューにはドン退き「胎盤スープ」って・・・・・・ありえん。
そんな隣国のすさまじい話がある中、日本のちょっといい話も載っていたりします。 総領事館の仕事っぷりは、確かにマスコミは宣伝していません。 悪い話しかニュースにならないってことですよね。 とんでもない日本人を保護し、お世話をやく、大変だな〜これを読む限り、私の印象はかなり変わりました。 どんな場所だって、いいところ(人)も悪いところ(人)もあるんだよね。 さらにトロイ遺跡発掘で有名な考古学者シュリーマンが日本に訪れた際の日本の印象などがよかった。 でも過去形。もう他所の国化してきている。それが良いとも悪いともいえない。
余談だけど、昨日とある事情でwアニメ「どらえもん」を久しぶりに見た。新しい声優になってからも初めてだ。 そして今更な話でつっこまれそうだけど、しずかちゃんの変わりようを確認して、寂しく思う。 自分だってかつてのしずかちゃんのように、クラシカルな女性じゃないくせにね。 おしとやかで、やさしくて、優等生でありながら男性を立てる、少年漫画でしか見かけられなかったやまとなでしこはついにフィクションからも消えた!
まえがきに「中国は日本にとって、時としてやっかいな隣国である。しかしだからといって日本は引っ越すわけにはいかない。 中国が日本にとって好ましい存在になるように全力を尽くすのが外交の要諦だと考える。少なくとも中国の失政のつけが周ってこないように賢明に立ち回ることが大事だ。 中国をどう認識すべきか、それは中国の歴史とともに、中国社会の現状を知ることから始めなければならない。」
そうだったらいいのですが。。。 こんなむちゃくちゃな国に渡り合っていける人が日本にいるのでしょうか? 外国の事情を見聞するにつけ、日本人て本当に世界のお人よしの頂点に立つよね〜と思う。 (シュリーマンの褒めていた時代の国民性はすばらしいけど、そのまんまだったらもっと大変だったとは思う。 それを両立させる技って無いものか。)
巻末付録の歴史認識などはわかりやすく、読んで考えるきっかけにすればいいと思う。 中国と日本の問題点を洗い出し、日本の立場、歴史、事実などが書かれている。 中国が自国の利益のためにつけてくるイチャモンに戸惑わないように知っておきたい。 中国の隣からは引っ越せないんだから。
でも、これらのことを政治家とか外交官とか中国に関わる人が理解してなかったから 今もこんなことでもめてるというより、やっぱり中国の中枢が都合に合わせて使ってるからでしょうねえ。 そうすると、やっぱり草の根運動でがんばるしかないのでしょうか。
いろんな意味で面白い本でした。 著者は闘病中にこの本の執筆されていたのですが、出版後に他界されたとのこと。ご冥福をお祈りします。
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