2007年05月22日(火) |
本「下流喰い 消費者金融の実態」 |
須田 慎一郎 筑摩書房 2006年
サラ金、闇金など言葉や多少の事は知っている、情報としてその問題点も。 被害者の苦しみや悲惨な状況もドキュメンタリーなどで知っている。 テレビやニュースで知ったその様子をそれよりさらに踏み込んで情報が得られます。 (新聞を毎日くまなく読んでるわけではないので) 足立区のこと、人身売買、大手銀行の高利貸など、やや言い回しなどが気になるけれど とにかく金融世界とそれをとりまく環境がわかります。 消費者金融なんて関係ない、と思っていたけど、大手銀行とそれらとの関係、 毎日見るCMを思うと、無関係ではないと思えました。
そして、消費者金融業界の本当の意味での恐ろしさは、そうした被害実態や取立てだけではないし もっと広く考えるなら、他の業界にも「恐ろしさ」は転用可能なのです。
会社、起業した経緯、そして働いている人、働かされている人、そして消費者。 世の中で起きている出来事は1つの原因や回答があるわけではなく ましてや人の心に問うことは無意味なのだと思った。 その渦中に居る人、これから巻き込まれようとしている人は 自分がどんな状態かなんてわかりっこないのでしょう。 自分を殺して、他人も殺す、そんな図式が見えてくる。 悪魔のビジネス。ピッタリな言葉でした。
もう1つ 「悪魔のビジネス 人材派遣業」 奥野修司 文藝春秋 6月号という記事もタイムリーに読んだ。 サラ金と人材派遣、違う職種でありながら、お金を貸す側、人を会社に貸す側の論理はどこか似ている。
+++ ここから余談
私の子どもの頃から、サラ金という言葉があり、それを使った人が転落していくという 筋書きのドラマや小説などもあり、実際にひどい目にあった人たちの報道も少なくなかったと思う。 とても恐ろしいイメージなのと、今のように表に出てない隠された印象だった。 ところが、つい最近までTVCMもどんどんやってたし、(今もやってるけど) 便利な世の中にあわせて借金も簡単にできるようになって 誰の目にも触れる場所にあり、小さい子どもが意味もわからず、その社名を口にするようになってしまった。 そういう会社がある、お金を貸す、どこでもある。そんなことがポピュラーになってしまった。 でも私が子どもの頃と変わらないのは、借りた後の事がよくわからないこと。
以前、勤めていた会社の同僚が給料明細をあけて驚きの声をあげた。 「クレジットカードで借金したら、とんでもない利子をとられた!!」 飲み会の2次会に行ったのはいいけど、持ち合わせがなくなった。 銀行はやってないし、借りる相手もないので、仕方なくクレジットカードで借金したのだという。 細かい数字は忘れたけど、数万円借りて1ヶ月でそんなに利子がつくなんて、と驚いて私も気をつけようと思った。
それから数年後、急ぎの用事でお金が必要になり、銀行にお金を引き出しにいったのだが 誤って、クレジットカードを入れてしまった。私は銀行のカードを入れたつもりで、 ましてや銀行のATMにクレジットカードが入るなんて思わないから 簡単にボタンを押して、数万を引き出した。が何か変だな〜と頭のどこかで危険信号が光ったのも遅く お金を手にした時、クレジットカードでお金を借りてしまったことに気付いた。 このままだとバカみたいな利子を払わなくてはならなくなると焦りつつ、とにかく クレジット会社のサービス窓口に行き、返してしまおうと思った。 銀行は日曜はお休みだが、クレジットカード会社の窓口は開いているのだ。 そして、事情を話して返せることが出来、無駄な利子を払うことは免れた。
焦った自分がきちんと確認しなかったのがいけなかったのだが こうやって銀行のATMから、簡単に借金できてしまう事には驚きだった。随分お手軽なんだと。 クレジットカードでは、お買い物をしても、お金を借りるという情報は抜け落ちていたからと 他の目的のカードでも銀行のATMはすんなり受け入れてくれるという事。
私や前述の同僚がうっかりさんなのか?まあ確かにうっかりさんなんだけどでも、特別ではないと思う。 儲けようと思ってる場合、自分の利益のために不利な情報はもらさないだろう。 聞かれたら教えてるかもしれないけど、聞かないし、知らない人はよいカモになるのだ。
例えば、社会人になって都会で一人暮らし。 給料は安いし、生活費、交際費は都会では安くありません。 周囲に頼れる親戚、知人などもいない、給料前にお金がいりようになったら 誰にお金を借りたらいいのだろう。
私も20代で一人暮らしをした時、赤字になった時があります。 幸い私には、一人暮らしをする前からの蓄えがあったので 借金を他人にする機会はありませんでしたが もしもっと若くて、貯蓄もない、頼れる人もない人はどうしたらいいのかしら?と思いました。
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