言霊
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2002年06月03日(月) |
◇ ジャンクフードな関係 |
突然だけど私は槇村さとるという漫画家が、すっごく好き。 この人がいなかったら自分で話を作ろうなんて絶対考えなかったと思うくらい。 その著作にある「おいしい関係」という話の中には、よく「食事」と「餌」という比較が出てくる。 言い得て妙だね。 食事じゃなくて餌を食べてばかりいると、まるで満足しない。 たまにはジャンクフードが欲しくなることもあるけど、やっぱりそれじゃ足りないんだなーって思う。 当然「食事ってなんだ?」って話になるよね。 デリバリーの豪華なジャンクフードより、手をかけた粗食の方が「食事」だと思うけど。 その差は何だろう。
結論からいうと「どれだけ手をかけたか」だと思う。 それはそのまま料理への「愛情」で。
要するに「愛がある料理」を「ありがたい」と思って食べるのが、食事。 レンジでチンして「何食ってるんだか判らないような気持ち」で済ますのが、餌。 あ痛たたって思った人、いるでしょ(笑) 私だって毎回「食事」はムリムリです。特に一人で食べてる時なんか、も〜超〜テキト〜(笑) 「口に入りゃいい」くらいの勢い(太るぞ) だからね。たまにはね。忙しいし、それもアリだと思うんだけどさ。
たけど人生の中で「メシを食う」時間って意外とウエイト高い。 愛を語るよりメシを食う時間の方が多いし。 無理なダイエットなんてしてる人は、恋人の往来よりも待ち遠しい時間かもしれない。 そんな大切な時間に「餌」食ってても、ちっとも満腹にならないし だからちっとも幸せになれないってコトになる。やばいぜ。こいつぁ一大事だ!
手をかけたメシは旨い。 オシャレして予約して金払って、美味しい店に行くのも素敵だし。 手間暇かけて自分で育てた野菜なんかかじるのは、最高! そうじゃなくてもとにかく一手間かけて作った料理は、やっぱり「ありがたみ」が違う。 自分で料理をする立場の人は大変かもしれないけど、ある意味一番お得だと思う。 手間をかければ美味いモノが食える。 味が良くなるんじゃなくて、執着が湧くんだよね。それが「美味しい」の正体だと思う。 だから作らない人も台所が見える場所で一部始終を見てるだけで、一ランク上の幸せを食べられるし。もちろん手伝って自分の手間も入れば、絶対その方が美味しい。そういうもんだと思う。
さて、なんで“ことだま”で、そんな話をしているかというと。 これって人間関係にも、そのまんま応用が利くんじゃないかと考えちゃったからなんだ。
何も考えずに楽に付き合える……レンジでチンしたような関係ってあるじゃん? 本音を言うでもなく、信頼するでもなく。その人の為なんて全然考えないで、自分の存在を写してくれる鏡を求めるようにダラダラ一緒にいて。何も吸収しないで、何も理解しないで、必要なくなったらポイって捨てられるような関係。 自分が嬉しいことを言ってもらえば、それでとりあえずお腹いっぱいになるけど。ちっとも満腹にならないから、すぐにまた同じようなモノを貰って、なんとなく食いつなぐような。ジャンクフードみたいな関係。 そんなのばっか続けてると、人生の最後に何の充足感もなく逝くことになるんじゃないかって。 なんかね。そんな風に考えるんだよ。最近特に。
一方的に相手に何かしてもらっても、満腹にならないよ。 自己満足でいいと思うんだ。 身勝手な恋情じゃなくて、包み込むような愛情で勝負してみれば、何か変わる。 たぶんね。自分の中から「旨味」が出るんでしょ?(笑)
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