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エースをねらえ!     2003年01月02日(木)

全10巻(文庫版)一気読みしました。んなもん途中で止められるか。
泣いたよ、私は。
初めて読んだのは小学生の時。私もテニスラケットを買いました。軟式だけど。後は高校の授業でやった他は一度くらいしかやった事ないけど。
あの頃はただただ一見平凡な女の子が一流のプレーヤーに成長して行くというサクセスストーリーに熱くなって読んでいた。
今読むと、テニス以上に登場人物それぞれの愛情が空恐ろしいほど胸に迫って来る。
主人公の岡ひろみはスタート時で高校生、終了の時でもまだ大学生である。という事はもちろんお蝶夫人、蘭子、西高三羽ガラスもその一つ上なだけだ。
宗方コーチはなんと27歳の若さでこの世を去っている。
なんとこの登場人物達の大人な事!
はじめの頃はややありがちなスポ根ものであるが、途中からは、一人の、未だ原石であるひろみを磨きあげる為の周りの人間の愛情の物語になっていく(私はそう読んだ)。決して報われる事のない恋心を抱えた人物が幾人も登場する。
それぞれが待ち、堪え、耐えながら、ひろみを世界の頂点に押し上げる為に力を合わせて行く。
高校生やそこらの子が、このような愛情を持ちうるものだろうか。
スポーツ選手特有の「選手生命」の重さのせいで、そして宗方コーチの死のおかげで、時間が無限にあるという幻想を持ってはいられない若者達が。
それとも年若いからこその純粋な愛情なのだろうか。

ドジで間抜けなヒロインが成長して行く、という点において、どうしても私は『ガラスの仮面』と比較してしまった。
『ガラスの仮面』も何度読んでも夢中になってしまうマンガだが、『エースをねらえ!』に比べるとやはり荒唐無稽な感じは否めない。
恋愛自体は『ガラスの仮面』の方が格段に理解しやすいリアリティを持っているけれど。
主な原因は、超人的なテニスのプレーとそこに到達する過程が比較的想像しやすいのに比べ、超人的・天才的な演技というのがなかなか想像しにくいからだろう。
結果がスコアとなって表れるスポーツと違い、例えば実際に北島マヤと姫川亜弓の芝居を見比べたならば「どちらも素晴らしい」という感想しか持ち得ないのではないだろうか。

実際に世界の舞台に立つようなプロには、数多くの人間が周りにいて、無償ともいえる愛情や力を注ぐだろう。
沢山の人間に愛されるひろみが羨ましいような気もしたが、一歩間違えれば抜け殻になってしまうような才能を持つというのはやはり恐ろしい事だ。
天賦の才を奢らず、腐らせずにコントロールするのは普通の精神力では難しいだろう。凡人で良かった。←それでも自分をコントロール出来ないヤツ。

新年早々マンガでここまで真剣に考えるとは。やはりアホだったワシ。






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