Trash |
過去は過去のごみ箱へ。 しかし私はそれを本当に捨ててしまう事ができずに 心の片隅に留めてしまっていた。 捨てて日が浅い頃は何度それを また再び拾いあげようとしたことか。 その心を押さえ、しばらく経つと それは腐敗臭を放ちだした。 甘く、生臭い匂いは私を苦しめ それでも捨てられない自分を呪った。 時が経ち、それの存在を忘れかけたころ ふと気付くとそれはなくなっていた。 それを留めていた場所を探すと あんなにみずみずしかったそれは からからに乾燥し あるものは風化し あるものは土に帰ろうとしていた。
ただ、「楽しかった日々」という人工物は どこにも行き場がなく 異様に新しく、リアルな風体を晒していた。 そしてそれらの人工物が いつしか 私を形作っていた。
これらをごみというのならば 私自身がごみ箱なのだ。
私はそれらのごみを 宝物として 密やかに 心の片隅へ飾る。
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2002年11月06日(水)
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