全うする事。 |
ダーは、お酒が大好き。カニ味噌と、日本酒があったら、一升は飲む。 それはいい。早死にしたって、美味しいものを食べて、幸せを感じて一生を過ごしたんなら本望だと思う。毎日飲んでるわけじゃないし、酒乱でもないし。
私が心配なのは、ダーが、仕事の付き合いで遅くまで飲んで、車で帰ってこなくちゃ行けない時。ダーは接待中にもたまに、電話をかけてきて、遅くなりそうだと言う報告とか、愚痴だとかをこぼす。それはいい。でも、その口調を聞いただけで、ダーが酔っ払っているかどうかわかってしまう私は、帰りの車が心配になってしまう。 「いっぱい飲んだんでしょ。」 「うん。日本酒の珍しいのがあって、ついつい。」 「もー!車で帰ってこなあかんねんで!あぶないでしょ!」 「大丈夫。」 「大丈夫ちゃうわ。ちょっと回ってるやん。家ではいくら飲んでもいいけど、車の時は控えろっていっつも言ってるでしょー!」 「ごめんなさい。」 「もー。酔い覚ましてから気をつけて帰ってくんねんで。」 「はい。」 接待で、飲まされてしまうのは仕方がない事だと思う。でも、一言「車ですので」って言えば、そんなに飲む必要もないだろう。 でも、電話を切った後、きつい事を言って、もし、彼が事故にあって、死んだりした時、最後の会話がきつい事なんて嫌だ。後で絶対後悔するだろう。だから、じゃないけど、いつも、電話を切る前に、お互い「愛してる」を言う。 彼は、「人間、死んだ時がその人の寿命で、人生を全うしたのだから、悲しんではいけない、悲しんだら、魂だって、天国に行くのを躊躇ってしまう。って親父が言ってて、俺もそうだと思う。」と言っていた。私はそこまで割り切れないから(彼も、彼のお父さんも割り切ってるわけではないだろうが〉怒ってしまう。自分の身を守ろうとするだけで、生存率〈と言うとオーバーだけど〉は上がるのだから、それをしようとしないのはただの怠慢だと思う。ぎりぎりまで戦って死んだのだったら、たしかに全うした事になるだろう。 未来はわからず、いつ何時、何が起こるかなんて分からない。 そりゃいつも、結婚して、子供を作って、子供が大きくなって、幸せな老後の後に死ねたらいいと思うけど、それが出来るかどうかは神様しかわからない。 だから、せめて。 「愛してる」というたった一言の幸せでも、彼の人生の中に、私の人生の中に、沢山のこして、幸せな人生を全うしていこうと思う。
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2002年05月28日(火)
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