親友M<第三話> |
どきどきして出て行った妖しい雰囲気満載のフロアで待っていた事とは??第三話始まり始まり〜。
お店の席は、すべて二人がけのソファで、しかも、周りの人に見えないようについたてがしてある。私達は、一番隅っこの席に座るよう勧められ、言われるがままに座った。 「まずね、写真撮るから。面接来る子多くて忘れちゃうんだよね。うち、履歴書とかないし。」といって、ポラで写真を撮った。(後で考えると、この写真、勝手に店に張り出されていたんじゃないかと思う。だって、この面接受けてから、1年位に渡って、しつこく「うち来てくれないかなー?」という電話があったから。たぶん、勝手に張り出して、私を指名した客に、「あー、そのこ、今日お休みなんですよー。次ぎいらっしゃった時に、お願いします」なんて言って、客を引っ張ってたのに違いない。で、何度か指名してくれた人がいたのだろう。いつもいないんで、怒られたりしたんだろう。その客引っ張った分の金をよこせ。) マネージャーは、座るところがないので、まるでホストのように片膝を付いて説明を始めた。
「えぇっとね、ようは、お客様にお酒を作って、おしゃべりを楽しんで貰ったらいいわけ。うちはおさわりアリなんだけど、まぁ、嫌だったら嫌って言えば大丈夫だから。」 「はぁ。」(そんなこと言えるかよ。大体言った所で『いやよいやよも好きのうち』なんて思われるのが目に見えてるじゃないか。) 「まぁ、うちはお客さん選んでるから、大丈夫だよ。ホワイトカラーの人しか入れないから。ほら、店の前に怖そうなお兄さんが立ってたでショ?あの人たちが、たとえばいかにも肉体労働な人とかきたら追い返してくれるから。だから、暴力的なお客さんとかいないよ。いたら、いつも店員がフロアを見張ってるから言ってくれれば追い出すしね。」 「はぁ。」(職業差別やん。なんでリーマンはOKなんだ?ネクタイしめてりゃスルーなのか?今にもゲロ吐きそうなヨッパでもOKなのか?) 「でね、お給料は、最初は1800円から」 「はぁ。」(ヲイヲイ、フ○ムAには3800円って書いてたのに話が違うじゃねーか。) 「で、指名が付くと、お給料アップするから。うちで一番稼いでるこで、7000円くらい行ってるこもいるよ。お客さんに気にいられたらアップしていくから。だからまぁ、稼ぎたいんだったら、やっぱりおさわり断らない方がいいよね。ヘルプってのがあって、お客さんが指名したこが他のお客さんに付いてたら、その子がくるまでそのお客さんに付いて、適当におしゃべりとかして間を持たせて貰う事なんだけど、まぁ、それでも基本自給で稼げるけど、いつまでたってもそれじゃ、やっぱり損だよね。どうせやるなら、指名付いた方がお金になるよ。」 「はぁ。」(やっぱりおさわりは必須なんやん。) その時、大音響でパラパラが流れ出し、またもやハッスルタイムが始まった。私達は、またもやふきだしそうになるのを堪えなければならなかった。マネージャーは、「ちょっと待っててね」と言い残すと、事務所の方に行ってしまった。と、同時に私達は腹を抱えて笑った。落ち着いたころ、私達は仕事内容について、話し合った。 M「なぁ、どう思う?」 リ「あやっしーよな!!」 M「な。結局おさわりありなんや。まぁ、稼げそうには稼げそうやけど。」 リ「うん。おさわりってどれくらいなんやろ?」 M「結構触られそうやな。私小心者やから嫌って言われへんわ。」 リ「私も。な、やる気、ある?」 M「うーん・・・微妙やなー。」 リ「そうか。私は店入って来た時点でだめだこりゃってかんじやわ。あと、ハッスルタイム。」 M「(笑)そうか、私も実はそう。いや、リカちゃんマネージャーの話し一生懸命聞いて、やる気あるっぽかったから。」 リ「いや。Mの方が、質問したりしてるから、やる気なんかと思ってた。」 私達は女の子が何をしているのか、何をされているのか気になって、そっと覗こうとしたが、端っこの方で、しかもついたてが邪魔して見えなかった。結局そのまま30分ほど待たされ、私達はやる気のないままおしゃべりを続けた。 「ごめんごめん。いや、忙しくて。」マネージャーが帰ってきた。 「はぁ。」(嘘コケ。客4人しか来てないのに。) 「じゃぁ、私が、実際どんな事するのか、シュミレーションするから。君、来てくれる?」 マネージャーは私を見た。 ままま、まじっすかぁ!?やばいんじゃないっすかぁ!?なにするんっすかぁ!? 不安な私をよそに、マネージャーは隣の席に移動した。私はMと顔をみあわせ、目で、「来ちゃったよ。やばいっす。」と訴えた。Mは私の言いたい事が分かるらしいが、ゲラゲラ笑っていた。薄情な奴め。次はお前なんだからな!
しぶしぶ隣の席に行った。ほとんど個室状態だ。Mからも見えない。 「はい、座って。」 しぶしぶ狭いソファに座る。マネージャーという見知らぬ男と密着状態だ。目の前の小さなテーブルには、お絞りと、水割りセット、ライター、灰皿、そして、仕事説明用らしき、パウチされた紙があった。 「まずね、お客さんが席についたら元気よくかわいく『いらっしゃいませ!』って言って、お絞り広げて渡してあげるの。お客さんの手を清潔にして貰うためにね。」 「はぁ。」(え?お絞りの意味なんかどうでもいいよ。って、もしかして、清潔な手しか触っちゃいけないとこまで触られんのか!?) 「で、水割り作ってあげる。うちは飲み放題だから、ボトル探したりしなくていいから。このボトル使ったらいいからね。あとはお客さんとおしゃべりするだけ。でね、その時は・・・ちょっと脚貸して?」 「へ?脚ですか?」 「うん。脚を、こうやってお客さんの膝にかけて(と、マネージャーの膝に脚を乗せられる)おしゃべりするの。お客さんは、女の子の腿に手を当ててね。恋人気分でね。」 私は、見知らぬ男の膝に乗った、滑稽な制服から出てる自分の脚を見つめて、「はぁ。」と言った。(いよいよ、か・・・)私は身構えた。 「まぁ、おさわりって言っても、普通の恋人同士がいちゃいちゃする程度だから。」 「はぁ。」(普通の恋人同士はいちゃいちゃした延長線上にセックスするんだってのを知らないのか?) 「で、今はブラジャーしてるけど、フロア出る時はノーブラのほうがいいね。」 「はぁ・・・。え?あの、胸も触られるんですか?」 「んーまぁ、ほとんどそれはないけどね。指名とろうと思ったらね。」 「はぁ。」(ほとんどないって・・・嘘コケこらぁ!結局は指名とる=おさわり満載なんやんけ!!) 「これくらいだったら、大丈夫?」と、マネージャーは、私のスカートの裾の方にちょっとだけ指を入れた。 「はぁ、まぁ、これくらいだったら・・・」(いやじゃ。) 「これくらいは?」と、もっと手を入れてうち腿をなでた。皮膚が、泡立った。 「はぁ、いや・・・あの・・・」 「じゃ、これは?」と、店長は私のパンツを指先でなでた。 大丈夫言うてないやんけぼけがぁ!!!!さわんなやぁぁぁぁぁ!!お約束のように面接官はエロなんかぁぁぁぁ!!てめぇ趣味だろぉぉぉ!! 「いや無理です。」ずっと、曖昧に答えていたが、この時はきっぱり言った。 「そうか、まぁ、嫌だったら嫌だって・・・(以下同文)」 マネージャーは、私の脚から手を離し、同じ説明を何度もした。よく出てきた言葉は、「恋人気分で・指名とってお金稼ぐなら・大丈夫・嫌だったら嫌って」だった。何度も、まるで洗脳でもしているかのように。 結局、10分ほどシュミレーションをして、Mのいる席に戻った。 で、いよいよMの番かぁ。かわいそうに。げっへっへ。と思っていると、マネージャーは、 「じゃ、リカちゃん、彼女にどんな感じか説明しといてね」と言った。 「え?私はいいんですか?」とMが言うと、マネージャーは「うん。ちょっと、用事があるから、説明聞いて待ってて。」といってまた事務室に戻って行った。 鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてただろう私にMは、「どうやった?」と興味津々に聞いて来た。 「え??っていうか、なんで私だけ?ずるい!!お前も苦しめ!」 と、私が言うと、Mはゲラゲラ笑いながらも、 「ていうか、私もちょっと傷つくわー」と言った。 私は、マネージャーの言うシュミレーションと言う名の趣味の内容をMに話した。Mは聞きながらゲラゲラ笑っていた。 「きっついなーそれ。無理やな。」 「うん。甘かったな。今度は時給悪くても、安心できる店に行こう。」という事で話は落ち着いた。 また、結構待たされて、マネージャーが帰ってくると、 「じゃぁ、着替えて、帰っていいよ。」といった。 「え?もう?」 「うん。もう、店じまいで、他の女の子も帰るからさ。あ、制服クリーニング出すから事務室に持って来てくれる?」 と言われ、私達はまた準備室で着替えた。すると、お店の女の子達もぞろぞろと入ってきて、「おつかれさまでーす」と言った。みんなほとんどノーメイクで幼く見えた。全員ノーブラだった。私達はとっとと着替えて制服を持って、そそくさと準備室を出て、事務室に行った。制服を渡しに。今日の分の給料もらいに。体験入店の時給を計算すると、1800円位だった。マネージャーに制服を渡すと、 「お疲れ様。で、お給料ね、ここの女の子達皆そうなんだけど、自分の制服のクリーニング代は実費なの。制服持って帰って自分で洗ってる子もいるけどね。クリーニングの子は、うちが出すんだけど、それ、お給料から引かせて貰ってるんだわ。で、クリーニング代2000円位だから、悪いけど、それ引いたら今日のお給料でないんだ。ごめんね。あ、採用するかは追い追い連絡するから。」 なんですと?おっさん今なんてゆーた?お!?喧嘩うっとんのけ!?そんなんきいとらんぞ!?てゆーか、私ら制服に着替える必要あったんけ!? いや、1800円くらいどうでもいいんですけどね。そんなうそ臭い言い訳してまでお金を出し渋るその根性が気に入らないんですよ。 とか思いつつ、小心者の私達は渋々家路につきかけたのだけど、悔しい想いをした私達は、その怒りのパワーを使って、そのまま二件目に電話した。その店は、一軒目に近い所にあったので、「今、近くにいるんですが」と言うと、「じゃぁ、すぐ来て貰ってもいいですよ」と言う事なので、行く事にした。ママさんであろう電話越しの女の人の声は、すごくハスキーで、あ、こういうおばさんがやってるところなら大丈夫そうだと思った。 住所を見ながら店に行くと、バーがメインにあり、ボックス席が二つだけという予想通りこじんまりとした店だった。平日だからか、店はがらがらで、お客は一人しかいなかった。 「いらっしゃー・・・あ、さっき電話くれた子?」と、さっきの声の持ち主が言った。 え?おばさんは?あれ?貴女ですか!? ママさんは、若かった。まだ二十六、七歳位。 でも、まぁ、妖しい店じゃないし、まぁよさそうだ。と、面接を受けると、即採用と言う事になり、私とMはお水デビューを果たしたのであった。 後日、セクキャバから断っても断っても何度もしつこく電話があり、それをMに話すと、「えー!?私にはかけて来ぉへんで!傷つくわー。」と言っていた。「ていうか、あんた携帯持ってないから電話番号教えてないやん。」「あ、そっかー。あはは」 私達は休みの日にあって、よく話をした。始めての水商売という不安も、二人でお客の悪口を言いあってると、吹き飛んだ。もちろん、悪口だけ言っていたのではない。どうすればいいか分からない事だって、お互い教え合えたので、楽っちゃー楽だった。でも、お互いが、お互いの成長っぷりを見て、また劣等感を感じあったりもした。 「なんか、やっぱだめだわ。話って、何すればいいか分からん。M見てるとぺらぺら喋ってるから焦る時がある。」 「えー私から見たらリカちゃんの方が上手いと思うけどな。私ほんまにどうでもいい事いってるし。はって気づくと、お客さん、退屈そうで焦る。リカちゃんは、普通に話し聞いて返してるから、聞いてる間黙ってるだけやん。」 「でもそれって、話しベタなお客さんはいやなんちゃうかな。うちそういうお客さん多いし。きっかけを渡しても、その後続かんからつらい。『初めましてーリカです』『はじめまして。』『・・・』『・・・』『おいくつなんですか?』『35』『お仕事帰り?』『うん』『・・・』『・・・』・・・ってなって、次のきっかけを探すのに必死(笑)」 「あはははは!わかるー。」 「なんかしゃべれっていう、ママの視線が痛い。」 「あははは!」 なんて。真剣な事を話す事もあって、まるで「朝まで生テレビ」だわと思った事もあった。
ダーとは、この店で知り合ったので、Mもよく知っている。ダーと、Mと、私の三角関係の話はまた明日。
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2002年03月28日(木)
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