最近、結構暑い日が続く。まあ、日本ほどではないけど。
アンヌ・モレリの「戦争プロパガンダ10の法則」を読む。 これは、英国のポンソンビーの記した法則に基づいて モレリが第2次世界大戦や現在の中東戦争を例に検証している。 (ポンソンビーは第1次大戦についての著書を残した人) 目新しいことがかかれているわけではないが、 とてもわかりやすい。10か条全部書いてしまうと、 この本の内容全部書くも同然という気がするから、少しだけ。
「われわれは戦争をしたくない」 「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」 「敵の指導者は悪魔のような人間だ」
5月の頭くらいだったか、ブレア首相のインタビューを新聞で読んだ。 「この戦争には、私の政治生命を賭けていた。」 実際に人を殺すのだから、政治生命ぐらいは賭けておくれ、 というのはさておき。 「『国連決議にフランスが参加してくれていれば、 実戦に持ち込むことなく解決できたかもしれない』 と、首相は悔しさとフランスへの苛立ちをにじませた。」 とかいう記事だったのだが、上手いなあ、ブレア。と思った。 まさに「我々は戦争をしたくない」と、主張しているのみならず、 宿敵フランスへさりげに責任転嫁し、後悔しているとアピール。 こういう小技の利かせ方が、日本の政治家は下手ではないかな と思う。
結局わたしには原因は良くわからなかったが、戦死した英国兵士の 年金や弔慰金の問題で、ちょっともめたのだ。 弔慰金が異常に安く、遺族がクレームをつけたら手違いだったとか、 0歳だか1歳だかの子供がいる未亡人が、 軍用官舎(って言葉ある?)を追い出されそうになったりして、 「こんなことでは誰も国の為に戦わない」というコメントが出て、 士気が落ちるとかいう話が一時期あった。 その辺のフォロー・アップかなとも思ったり。
目新しいことは書かれていないと書いたけれど、 ジャーナリストがどれほど嘘をつくか、というのは矢張り驚いた。 ナチスの暴虐の捏造話が、全くゼロから作り出されていて凄かった。 こうした創作話もそのまま、軍事裁判で使われたのだろうと思うと、 史料の判断というのは、難しいものだと思う。 公正な記事を書いたジャーナリストが、牢獄に入れられたり。 戦場のピアニストの回顧録も、46年出版当時は、 ヴィルムをドイツ将校とは書けず、オーストリア人としたらしいし。 日本でも南京大虐殺のことが問題なっているが、 あれも、同根の問題かな、と思う。
結局、修士論文には余り関係ない本だったみたい。
|