英国留学生活

2003年06月12日(木) 続・戦場のピアニスト

昨日の日記の続きのようになるが。
日本語版公式サイトを見て、彼の名字がホーゼンフェルトだと判明。
あと、大尉って呼んでいたのが嘘じゃなくて良かった。
英と米でも、陸海空でも肩書き違うからなー、よくわからない。
それから、彼は密かに何人ものユダヤ人を救っていたとか、
戦争終結間際だから、シュピルマンを助けたわけでは、
なかったのですね。
お詫びして、訂正します。
如何にもゲルマン顔だなーと思っていたら、東独出身だった。
もっときんきら金髪碧眼のほうが、ナチらしいかも。
ゲーリングも金髪碧眼じゃなかったかな?
彼もレッド・バロンの後を継いだ頃は痩せてたようだが。

ブロディー氏には脱帽。十数キロの減量もすごいが、
あれまじで、ショパン弾いていたんですか!すごすぎる!
でも理想的な大きな手、長い指だよなあ、羨ましい。
あの手の動き、ガーシュインを早弾きする知人を思い出させた。
私と友人は「鋼の関節を持つ男」と称していたが。

そして、幾つか散見された映画評、感想に、
「神にその才を愛されたが故に、生き延びたピアニスト」
というのがありまして、ほー、なるほどのう。と思いました。
本人の努力(いや、努力しているけど)に左右されない部分、
を私は偶然の積み重ね、としたけれど神という言葉で、
意味を持たせるのも、一つの見方だな、と。
と言うより、こっちが監督の意図した方向性かも。
そうすると、最後の将校との会話で、あえて神に言及している
台詞の意味も違ってくる。
「感謝なら、神に。神がお前を生かそうとした。」という
字義通りの意味になるわけですか。
私は、撤退(敗戦)直前で、ユダも自分も生き延びることを、
神が許してくれると信じたい、と言う意味もこめられているのかなあと
勝手に思っておりました。

そもそも、ユダヤ人の定義とは何か、ということからして、
私には難しくていまだによくわからないのだが。
前に、イエスは金髪碧眼のはずがない、云々。
という話を日記のどこかでしたが、あれはその時点での話と
注意書きしたと思う。
現在のイスラエル人をユダヤ人と呼ぶのであれば、金髪碧眼もいる。
彼らを外観、所謂Raceで括ることは不可能だ。
雑な言い方になるが、インド人も中国人もアフリカ系黒人もいる。
メインはシュピルマンのような、東欧系ユダヤ人だが。
ユダヤ人のイメージというのは、彼のような黒髪鷲鼻が一般的かな?
でも、最後の方のシーンで、彼がジャーマンに間違えられるが、
自分のことを「私は、ポーランド人です、ポーランド人。」といい、
「ああ、そうだ、彼はポーランド人だ。」とロシア兵が返す。
じゃあ、やっぱり外見ではユダヤと判別できないのか?と思った。
サルトルが言うように、「あの人はユダヤ人と他人が言えばユダヤ人」
あるいは、「自分はユダヤ人という人間がユダヤ人」なのか。
ナチスから見たら彼はユダヤ人で、ロシア兵から見ればポーランド人。
だとすれば、ユダヤ人というだけで虐殺された理不尽さが、
より一層強調されるように思う。

結局、ディアスポラ(離散)の時点から、身体的特徴(血縁)から、
ユダヤ人というのをカテゴライズすることは不可能とも言われる。
その辺から演繹して、イスラエルの建国に歴史的裏付けのある
正統性はない、とする人もいますが。
それ以前に、私思うのです。
「何千年も前の、民族の土地所有を問題にしたら、
アメリカにアメリカ人住んでちゃいけなくない?」
勿論これは、他のあらゆる地域にも言えることだが、
イスラエル後援国のアメリカは、疑問を持たないんだろうか。
それともう一つ、正直言って、映画のゲットーを見ていると、
今のガザ地区が連想されてならなかった。
以前読んだ本で、「ナチスがユダヤに示した手本」という言い方が
されていたが、矢張りそれは一面の真実なのか。

昨年のレクチャラーのクィーン・アンは
"Anti- Semitism"「反ユダヤ(政策)」は、現在の英国にも存在する、
と言っていた。
ただ、それと"Anti-Zionism"(アンチ・シオニズム)とは、別物だと
認識しなきゃいけない、とジョンは言っていた。
そう言えば、ジョンのご両親はポーランド人だったような。
アンチ・シオニズムとは、反・ユダヤ人国家成立だ。
多分、アンチ・セメティズムの人間がシオニズムな場合はあると思う。
というより、バルフォアはその口ではなかろうか。
シオンの丘(エルサレム)って、英語読みだとザイオンなのよね。
マトリックスに出てくるのって、ザイオンだったような。

自分でも何書いてんだかわかんなくなってきたので、終了。


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