英国留学生活

2003年06月04日(水) To kill a king

To kill a kingを観てきました。
Catch me if you canを観ようと映画館に行った時には、
反射的に「二つの塔、学生一枚」と言ってしまったが、
今回は無事に本懐を遂げた。
Matrix reloadedとどちらにしようか悩んだりもしたけれど、
マトリックスは、まだまだ上映されているだろうから。
しかし指輪ばっかり観ていたから、この映画が短く思えてしまった。
以下ネタバレなので、観に行く予定の人は控えたほうが。


クロムウェルは良かった。チャールズもかなり良かった。
だが、肝心のフェアファックス卿がー!
私は、護民官でも王様でもなくて、貴男を観に行ったんだよ・・・。
語弊があるのを承知で言えば、
「奥さんとクロムウェルとで、フェアファックスを取り合って、
奥さんの判定勝ちー。」(←圧勝ではない)
という感じだった。
Charismatic Lord Generalな貴男はどこにっ。
一体どこにいってしまわれたのですか!?
容貌はイメージに合うし、とてもよい人だけれども。
この失望感は、映画「エリザベス」でウィリアム・セシルが、
某暴れん○将軍のじいやの如くになってた時に、
感じたものにちょっと近いかも。

一応、カリスマ性はあった。だが、主体性にかける気がする。
「これは裏切りだ!」といって軍を再編するところとか、
サージェント・ジョイスを誑し込むところなんかは、
カリスマ的な魅力の一端という設定なのだろうけど。
政治的には彼としては「国民を傷つけるか、否か」というのが、
判断基準らしく、それは良いと思うのだけど。
政治云々ではなく、親友のオリバーと王党派の奥さんの間で揺れるという話。
何故、そんなに奥さんに弱いのですか・・・。
レディ・フェアファックスも、ハンサムな旦那にべた惚れっぽいのに、
行動に一貫性がなくて、微妙に苛立たせられる。
(フェアファックスは、個人的に好きな顔立ちだが、
"Angel face"(BY チャールズ国王)は、違うだろうと思う。)

私、彼の身分のことは勘違いしていたようだ。騎士階級なのだね。
元々ヨークシャーの封建領主だと思っていた。
何で勘違いしてたんだろう?

チャールズは、ノーブルな感じで良かったと思う。特に喋り方が優雅で。
前にオベロン王をやっていたお人ですね。
権力を振りかざした太陽王ルイとはまた別の、「王権神授」を
盲信して、その誇りを捨てなかったという雰囲気が良く出ていた。

クロムウェルもやや狂的な部分と、
綿密に計算できるところが出ていたと思う。
攻める立場にいた時と、守る側に立った時の変化も説得力あって。
王の処刑のサインを集めている時の、ちょっと足りなそうな貴族との
遣り取りとか、らしくて面白かったし。
「何故、王に権力と権威を認めるのか?」
「え、それは、彼がそう生まれつい−」
「弁解はいらない!理由を聞いているんだ。」
それと、王を排除した国を治めることの難しさと、結局護民官という、
実質王の座に自分がついてしまうことへのジレンマへの苛立ちと。
オリバーのトーマスへの友情の描き方は、結構好きだ。
この人の側からだと、不思議と矛盾は感じない。
「彼は我らの、紋章だ。失うわけにはいかない。」とか言いつつ、
そういう利害を超えたところで友情を感じている辺り。

マイ・ロード、正直、私は貴男のお子さんのことよりも、
貴男に唆された挙句に貴男の優柔不断の犠牲になった、ジョイス軍曹の
末路のほうが、遥かに気になっておりますが。
まあそれでも、
「私が彼に、お前を撃つように命じたのだ。」
「トム、私が答えられないようなことを、聞かせないでくれ。」
「私にはお前は殺せないことがわかった。だが−」
というところで泣かされる、べたな展開に弱い私。

それと最後の、如何にも歴史ものらしいモノローグも好き。
うろ覚えだけど。(苦笑)
「そうして、フランス革命に先駆けること百余年、
クロムウェルの行ったことは、ヨーロッパの道筋を変えた。」
そしてそれ以来、この国が”共和国”と呼ばれたことは、
一度もない。」


全体的には、面白かったです。観てよかった。


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