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2005年08月13日(土)
「短編の名手」とは?

ふと気づいてみれば、17日までに2冊、23日までにさらに4冊、図書館で借りた本を読了させなければならない。読み終えた本の感想に浸っている場合じゃないなあとは思うものの、今いち気が乗らない。毎日イライラしている。全然落ち着かない。

そんなときに、どうやらPC部屋のエアコンが壊れたようだ。冷房にセットしても、生暖かい風がぼやぼやと吹いてくるだけで、ちっとも涼しくならない。今夜は雨のおかげで、窓を開ければ多少涼しい風が入ってくるのでなんとかなっているものの、この先まだまだ暑い日が続くのに、参ってしまう。

確実に壊れたとして、新しいのを買うのは仕方がないが(たぶんもう寿命だろう)、困るのは、取り外し&取り付け工事の際に、部屋にある本を全部どかさなくてはならないってこと。ああ、いやだ。

エアコンもなけりゃ困るが、それより何より、自分の書斎が欲しいなあ。書斎などという立派なものでなくてもいい。思い立ったときにPCがすぐに使える状態でありさえすれば!それができないがためにイライラして、毎日落ち着かないのだから。今日も精神安定剤を飲む。

さて、アリステア・マクラウド。私の苦手なアン・ビーティも「短編の名手」だったし、マクラウドも「短編の名手」と言われている。こうなってくると、主に短編を多く書いている作家は、皆「短編の名手」といわれてしまうのではないかとさえ思えてくる。ビーティとマクラウドを比較してしまうのは、あまりにも乱暴だが、何をもってして「短編の名手」なのか、それが私にはわからない。

「短編の名手」と言えば、大御所はやはりサマセット・モームで、個人的には彼を越えるものはいないとさえ思っているくらいなのだが、モームが書く短編と、現代の作家の書く短編は明らかに違っている。しかし、私はモームが書くような短編のほうが好きだから、現代の作家の「短編の名手」というのは、あんまりあてにならない言葉だと思う。とはいえ、これも個人的な好き嫌いの部類だろうから、ビーティもマクラウドも「名手」なんだろうと思う。

マクラウドの作品について書き出すと、とっても長くなりそうなので、ここでは適当なところでやめておくことにする。私自身の考えも、あまりまとまっていないことだし。ただ、1冊読んだ感じとして、マクラウドの力量は認めるものの、好みの作風ではなかったかなという感じだ。やっぱりこの人は長編のほうがいいんじゃないかと重ね重ね思った次第。だから、どうして「いい作家」ではなく、わざわざ「短編の名手」というのだろうなと思う。

こんなに辛い思いをしているんだ・・・と切実に訴えている作品は引いてしまいがちだ。マクラウドの作品に登場する人たちは、辛い状況でもそういう仕事が好きで(マクラウド自身も)、一生懸命に生きており、それはそれで素晴らしい人生だとも思えるのだが(ちょっと 『アンジェラの灰』 を思い出すような感じのところもあるから、単純に素晴らしい人生とも言えないとは思うが)、私の場合、これに限らず割に淡々と語られている話のほうがより感動するという嗜好のため、あんまり一生懸命生きられても、自分がぐうたらなだけに、重たくて受け止めきれないのだ。

ともあれ、今度は長編を読むのを楽しみに待つこととしよう。


〓〓〓 BOOK

◆読了した本

『灰色の輝ける贈り物』/アリステア・マクラウド (著), Alistair MacLeod (原著), 中野 恵津子 (翻訳)
単行本: 238 p ; サイズ(cm): 19 x 13
出版社: 新潮社 ; ISBN: 4105900323 ; (2002/11)
内容(「MARC」データベースより)
カナダ、ケープ・ブレトン島。苛酷な自然の中、漁師、坑夫を生業とし、脈々と流れる「血」への思いを胸に人々は生きる。世代間の相克と絆、孤独、別れを、語りつぐ物語として静かに鮮明に描く。隠れたる短編の名手による8篇。
目次

広大な闇
灰色の輝ける贈り物
帰郷
秋に
失われた血の塩の贈り物
ランキンズ岬への道
夏の終わり


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